第20話 エヘッ! 20

「私の名前はおみっちゃん! 夢はお江戸で歌姫になることです!」

 おみっちゃんの夢は歌姫になること。ちなみに歌姫とはアイドルみたいなものである。

「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」

 夢を叶えるために茶店で看板娘のアルバイトをして銭を貯めている。

「実は私、幽霊なんですけど。エヘッ!」

 おみっちゃんはエヘ幽霊である。


「なんて定番らしい普通の文章なんだ!」

 最初に戻っただけである。

「失敗の原因はおみっちゃんを強くしてしまったこと。」

 魔界、天界、宇宙を支配して戦う相手がいなくなった。

「成功するためにはドラえもんやアンパンマンのように、おみっちゃんは初期設定のままでいこう。」

 もっと失敗の原因は、飽きて試行錯誤してしまったこと。

「中身は何でもいいんだ。最後は歌って終わるから。エヘッ!」

 初心を取り戻したおみっちゃん。


「空は青い! 雲は白い! 何て気持ちいい一日なんだ! 生まれてきて良かった!」

 おみっちゃんは純粋な心の持ち主。

「何言ってるんだい? 幽霊のくせに。」

 茶店の女将さんがツッコム。

「そうでした。私が可愛いから許してください。エヘッ!」

 おみっちゃんは可愛い幽霊でした。

「そんなことはどうでもいいから銭をいっぱい稼ぐんだよ。三途の川も金次第ってね。イヒッ!」

 守銭奴の女将さんの格言。

「女将さんって、本当にお金にうるさいですね。」

 お金の話に嫌気がさしているおみっちゃん。

「世の中、銭が全てだよ! それが分からないおみっちゃんは子供ってことだよ。イヒッ!」

 年季の違いを見せつける女将さん。

「いいのかい? おみっちゃん。真面目に働かいないと給料を減らすよ。夢が叶うのが遠のくよ。それでもいいのかい?」

 子供の弱みに付け込むパワハラ・オーナーの女将さん。

「それだけはご勘弁を! 私が悪うございました! お許しください! 神様! 仏様! 女将さん様!」

 時給を人質に取るオーナーに弱いアルバイトのおみっちゃん。

「おみっちゃん。あんたはラッキーなんだよ。私が男の社長だったらセクハラもできるんだよ。あんた、今頃キャバクラで裸の看板娘になってるよ。あ、そっか。おみっちゃんを風俗に売り飛ばした方が儲かるかも。イヒッ!」 

 売り上げ最優先の女将さんのジョーク。

「嘘でもやめて下さい。PTAから苦情が入りますから。」

 アニメになったらキャバクラの件はカットでよろしく。


「敵役をどう登場させよう?」

 盗賊、キャンペーン挑戦者、どこかの村が襲われて救援に行く。楽なのは盗賊か? 割り込みか? 食い逃げか?

「違うな。最後、おみっちゃんが命乞いをして歌を歌う。そこにつなげないと。」

 となると悪役は横暴な登場をしなければいけない。

「ああ~なんか本当に最初に戻った内容だ。というより一周回って最初がやっぱり正解なんだ。」

 敵を倒す。若しくは屈服させる。茶店でアルバイトとして女将さんがこき使うと。タダのアルバイト確保。そして次々と支店を増やして茶店経営ゲームの最初通りの内容。

「盗賊で登場もバイキンマン先輩と同じ様な気もする。」


「俺にもお茶とお団子を寄こせ! 私の名前は餓鬼だ!」

 餓鬼が茶店に現れてお茶とお団子を要求してくる。

「商売の邪魔だね。おみっちゃん、退治しちゃいな。」

 女将さんはおみっちゃんに餓鬼を倒す様に言う。

「ええー!? 私ですか!? 自分で戦ってくださいよ。女将さんなんだから。」

 予期せぬキラーパスに驚くおみっちゃん。

「それは無理。私はお団子の仕込みで忙しいんだよ。分かった。その代わり時給を10円上げてやろう。夢の叶う日が近づいてきたね。」

 女将さんは銭儲けに忙しいので戦いには興味が無かった。

「やります! やらせていただきます! 夢を叶えるために私は戦います!」

 時給アップと夢を叶えるために簡単に釣られるおみっちゃん。

「チョロい。イヒッ!」

 銭は人の性格を変えることを良く知っている女将さん。


「私の名前はおみっちゃん! 私がお相手致します!」

 おみっちゃんが餓鬼に立ち塞がる。

「何を! 止めれるものなら止めてみろ!」

 餓鬼はおみっちゃんに襲い掛かる。

「これでもくらえ! 必殺! 丸のみ!」

 餓鬼はおみっちゃんを食べようと大きな口を広げて飛び掛かってくる。

「ギャアアアアアアー!」

 餓鬼に食べられたおみっちゃん。

「つまらぬものを食ってしまった。」

 渋い餓鬼。

「誰がつまらないものですか。エヘッ!」

 食べられたはずのおみっちゃんが笑って立っていた。

「なに!? 確かに食べたはずだ!? どうしておまえがそこにいる!?」

 餓鬼には理解できなかった。

「私、幽霊なので食べることができないんです。エヘッ!」

 幽霊のスキルのスルーが自動発生し、餓鬼はおみっちゃんの体をすり抜けた。

「バカな!? そんなのありか!? イカサマだ!?」

 餓鬼はクレームを言う。

「私が可愛いから許してください。エヘッ!」

 可愛い子ぶるエヘ幽霊。

「クソッ! こうなったら全部食べてやる! 必殺! 無限食欲! ガブガブガブガブ!」

 餓鬼はそこら辺中を食べまくっている。

「なんだか怖いのでステルス!」

 おみっちゃんは幽霊のスキルのステルスで透明になり食べられないように姿を消した。

「ガブガブガブガブ!」

 それでも周辺を食べ続けている餓鬼。

「何か攻撃方法はないのか? 私に相手を攻撃する方法はないのか? ない! 私にどうしろと言う。」

 おみっちゃんには攻撃方法はなかった。遠い過去、回復役の妖怪がいないということで耳かきと膝枕で戦闘後に回復、戦闘中には回復ができないという斬新な設定で意味出されたのが癒し女のおみっちゃんだった。

「参りました。私の負けです。」

 おみっちゃんは餓鬼に降参する。

「やったー! おみっちゃんに勝ったぞ! わ~い!」

 大喜びの餓鬼。

「あの~お願いがあるのですが、私の夢はお江戸で歌姫になることなんですが、最後に歌を歌わせてもらっても良いでしょうか?」

 謙虚にお願いするおみっちゃん。

「まあ、いいだろう。歌ぐらい歌わせてやろう。ワッハッハー!」

 勝利して上機嫌な餓鬼。

「ありがとうございます。それじゃあ、思いっきり歌わせてもらいますね。エヘッ!」

 歌が大好きなエヘ幽霊。

「耳栓用意!」

 女将さんは耳に耳栓をして衝撃に備える。

「1番! おみっちゃんが歌います! 曲は儚い私の夢! 聞いてください! どうぞ!」

 おみっちゃんが歌い始めた。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。

「ギャアアアアアアー!? なんだ!? この歌声は!? 頭が砕けそうだ!?」

 餓鬼はおみっちゃんの歌声に耐えられないで苦しんでいる。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 更に気持ちよく歌を歌い続けるおみっちゃん。

「こうなったら私の無限食欲でおみっちゃんの歌を食ってやる! おみっちゃんの夢を食ってやる!」

 餓鬼はおみっちゃんの歌声を食べ始める。

「そんな!? 私の歌声が!?」

 その光景にショックを受けるおみっちゃん。

「私の食欲は無限! どれだけ歌おうとも全て食べてやる! おまえの夢は叶わない! 歌姫になるのは諦めろ! この音痴!」

 音痴。それはおみっちゃんには言ってはいけないワードである。

(音痴・・・・・・・音痴・・・・・・音痴・・・・・・私は歌姫になりたいのに実は音痴・・・・・・。)

 おみっちゃんの中で何かが弾ける。夢と現実の狭間で何かが覚醒する。

「音痴の何が悪い!・・・・・・私は夢を諦めない! 夢は見る物じゃない! 夢は叶えるものなんだ! 私は絶対に歌姫になるんだー!!!」

 おみっちゃんは気合をいれてフルスロットルで歌を歌う。

「おみっちゃんの夢が強大に膨らんでいく!? どこにそんな力があるというのだ!?」

 思わず餓鬼もたじろぐ。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 もう誰にもおみっちゃんの歌は止められない。

「ギャアアアアアアー! 私の食欲をもってしてもおみっちゃんの歌を食べきれない!?」

 気圧される餓鬼。

「私の夢は誰にも奪われない! 夢を見るのは自由だ! 夢は努力で手に入れるものだ! 私の心が諦めない限り、私の夢は終わらない!」

 おみっちゃんは絶対に歌姫になりたいという強い気持ちが自分を強くしてくれている。

「参りました! 私の負けです! 何でも言うとおりにしますから、どうか命ばかりはお助け下さい! ギャアアアアアアー!」

 餓鬼は無条件降伏した。

「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」

 歌を歌い終えてご満悦なエヘ幽霊。

「それではガッキー。」

 おみっちゃんは餓鬼のことをガッキーと名付ける。

「ガッキー!? そんなニックネームで呼ばれたのは初めてだわ。」

 餓鬼はガッキーと呼ばれることになった。

「ガッキー。早速お皿洗いから始めてもらうわよ。」

 おみっちゃんはガッキーに皿洗いを命じる。

「ええー!? どうして私が皿洗いをしなくてはいけないの!?」

 抵抗するガッキー。

「何でもするって約束したでしょ。何ならもう一曲歌おうか? エヘッ!」

 女将さん仕込みでガッキーを脅すエヘ幽霊。

「それだけはご勘弁を! お皿でも何でも洗いますから! 歌だけは歌わないで下さい!」

 それほどおみっちゃんの歌は恐ろしいのだ。

「これにて一件落着! エヘッ!」

 勝ち誇るおみっちゃん。

「終わったんなら働きな。お茶とお団子をお客様に持っていきな。」

 仕事には厳しい女将さん。

「は~い! 喜んで!」

 おみっちゃんの戦いは続く。

 つづく。


「そうか。描いた部分だけを編集すれば10万字になるな。」

 なんせ茶店の歌姫4で40万字だから。愚痴を省いても20万字にはなるだろう。半分は愚痴かよ(笑)。

「原本が出来た。これを修正しながら繰り返していけば、余裕で茶店の歌姫5ができる。エヘッ!」

 茶店の歌姫5が決定。

「そうだな。原本が出来れば愚痴は書いても消していこう。」

 そうすると完璧な10万字ができるはずだ。

「訂正してくると更に良くなったな。」

 ちょっとくどいけど。夢は恥ずかしい。

「何とか新しくならないか? と試行錯誤したが結論は「定番が安心」ということだった。子供に見せれる。正義が勝つ。結果が分かっているから見ていて安心。PTAも大絶賛的な。」

 悲しいけど既存のアニメ制作会社の方針が正しいのだろう。若しくはもう新しい設定がないのだろう。タイトルは違えど、そうなるとパクリの類似の二次創作ばかりというオチである。

「こればっかりはどうにもならない。」

 ちゃんちゃん。

「おろ? ちゃんと5000字を超えないと10万字行かない。何を考えよう?」

 悪役でも考えるか。

「おみっちゃんのお友達は定番の提灯、唐傘、のっぺらぼう、天狗、河童、餓鬼。」

 妖怪モノをやる時は皆勤賞である面々。

「日本の三大妖怪の酒呑童子、玉藻の前、大嶽丸も登場できる。」

 こいつらも皆勤賞。

「後は鬼太郎で有名なぬらりひょん。朱の盆。他に火車、ぬりかべ、一反木綿。鵺、八岐大蛇。」

 後は鬼に自然とかをつけて、火鬼、風鬼、氷鬼、土鬼、水鬼とかで良ければ無限に敵は作れるな。闇鬼、無鬼、暗鬼。邪鬼。邪鬼は邪神鬼にレベルアップできるとしておこう。いや、レベルアップしてしまうとインフレしてしまうから、別物にしておこう。そうしないとおみっちゃんもレベルアップしてしまってインフレして、行き場がなくなって終わってしまうから。

「茶店の歌姫5ではなく、スーパー茶店の歌姫にしてしまおう。」

 これでも、まだ200字足らない。少ない文字数ではなんもできない。

「敵の次は人間と絡むおみっちゃんを考えよう。」

 時代劇なら茶店。現代なら・・・・・・って、全部、鬼太郎でやってくれている気がする。妖怪が見える人間の女の子と出会う。後は一緒に行動すればOK。それが鬼太郎と人間のかかわり方。

「結局、ゲゲゲが金字塔で妖怪モノをやると全てゲゲゲの設定を少し変えただけで全部、同じ内容の繰り返しなんだよね。」

 先駆者か開拓者がやはり強い。他の人が妖怪モノをやらない、やれないのはフジテレビがゲゲゲを飼っているからできない、やりづらいというのがあるのだろう。夏目? とかも鬼太郎のパクリといばそれまでである。毀滅の刃も敵は鬼なので妖怪モノといえば妖怪モノ。少し設定が違うだけで妖怪を倒すということに関しては同じ。ゲゲゲの鬼太郎を知らない世代には毀滅が初めてで良かったのだろうか。「内容が気持ち悪い。人、死に過ぎ。」これが一般大衆の毀滅のイメージである。とても一般大衆に支持を得て400万人も動員した作品には思えない。やはりお金儲けのために打ち上げた大人の事情が強いのが分かる作品である。エヴァの監督も「毀滅は新しいことは何もやっていない」と言っていたらしいし。

「結論。妖怪モノは鬼太郎を超えるポテンシャルがないと難しい。というだけの話。」

 以上。

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茶店の歌姫 4 渋谷かな @yahoogle

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