第19話 エヘッ! 19

「私の名前はおみっちゃん! 夢はお江戸で歌姫になることです! エヘッ!」

 夢は大きく持っているエヘ幽霊。

「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」

 おみっちゃんは夢のために茶店で看板娘としてバイトしている。


「エピソード・ガッキーでシリアスもできることが証明できた。」

 ただしよくある話ではあるが。もっといえば他の作品と同じ内容の繰り返しと言われればなんら新しいことはない話。

「何かないだろうか?」

 茶店の歌姫に恋愛でも足してみるか?

「過去? う~ん。現代ファンタジーの方が扱いやすいか? 異世界ファンタジーにするとおみっちゃんが死ぬ所から始めて、愛からの生き返らせようという勘違い男が主人公になってしまう。」

 普段ギャグで面白いしか求めてないから恋愛要素を足すと物語が膨らむな。アハッ!

「もう少し考えてみよう。」

 そうしよう。どうせ9万字部分など書いても誰も読まないだろうから自由に創作した方が良いだろう。

「おみっちゃんに彼氏がいた? 誰かが間違えておみっちゃんを殺したと思った? 勘違い?」

 おみっちゃんは幽霊である。

「誰かがおみっちゃんを生き返らせようとする。冒険する? 戦闘する?」

 それが愛?

「私は幽霊のままでいいんですけどね。エヘッ!」

 生き返ることに関心が薄いおみっちゃん。

「おみっちゃん生き返りクエスト。」

 ダサいタイトル。

「なぜ? おみっちゃんは生き返ろうとするのか?」

 そこが肝心だ。

「魔王を倒すためには生きていないといけないから!? はたまた恋をするには生きていないとダメだから?」

 面白くない動機ばっかりだ。

「何でも願い事が叶うボール? クリスタル? 霊魂? がある。100匹の妖怪から手に入れなければいけない。」

 そこで願い事は「お江戸で歌姫になることです!」だから100匹の妖怪から霊魂を集めることにするおみっちゃん。

「いかん! これでは恋愛が絡んでこない。」

 おみっちゃんは腐っても女だから男がいる。

「誰が腐乱死体だ! 私は可愛い幽霊だぞ! エヘッ!」

 苦情も可愛いエヘ幽霊。

「歌姫になることより、生き返ることを考えなよ。」

 男はなんだ? 侍か? 陰陽師か? 坊主か? 結界師か? 普通の人間か? それともパンダか?

「おみっちゃんにとって男ってなんだ?」

「私の歌が大好きな人がいい! エヘッ!」

 それって聞いた瞬間にデスソングで即死で永遠の別れなんだが・・・・・・。  

「じゃあ、歌の上手い人がいい! ヒロシ! 五目ヒロシよ!」

 五木ひろしではない。おみっちゃんの心の恋人はヒロシに決定。

「はあ~、やっと一つ決まった。」

 一つ決めるだけですごく突かれる。

「ということで、おみっちゃんの冒険は恋愛ではなく、夢を叶えるために霊魂を分けてもらわなければいけない。」

 自由に考えると簡単に次の物語が出来上がっていくな。


「ガッキー。霊魂をおくれ。」

 おみっちゃんは手短な餓鬼のガッキーから霊魂を貰うことにした。

「ノー! 霊魂を取られたら私が死んじゃう。」

 霊魂は一人一個なのでなくなったら死んでしまう。

「いいじゃん。幽霊生活も楽しいよ。幽霊の私が言うんだから間違いないよ。エヘッ!」

 幽霊も楽しいエヘ幽霊。

「そっか。幽霊も楽しそうだな・・・・・・って、おい! 騙されるか!」

 危機一髪のガッキー。

「チッ。惜しかった。エヘッ!」

 恐ろしいエヘ幽霊。

「霊魂を分けてあげよう。」

 ガッキーは自分の霊魂を分けてあげる。

「ありがとう! ガッキー! 持つべきものはお友達だね! エヘッ!」

 エヘ幽霊は餓鬼の霊魂の欠片を手に入れた。

「霊魂の欠片を1つゲットです!」

 残りは99個。

「よし。身近な所から集めていこう。」

 おみっちゃんの霊魂の欠片を集め始める。

「おーい! 天狗さん!」

 おみっちゃんは天狗にターゲットを絞った。

「ゲゲゲッ!? おみっちゃん!? どうか命だけは取らないで下さい! お助けを!」 

 おみっちゃんを見ただけで命の危機を感じ命乞いする天狗さん。

「天狗さん。霊魂の欠片を頂戴。エヘッ!」

 笑顔でおねだりするエヘ幽霊。

「はい! あげます! だから命だけは取らないで下さい!」

 脅されているように感じる天狗。

「私はいったいどういう人に思われているんだ?」

 自分の存在に疑問を感じるおみっちゃん。

「天狗さんの霊魂の欠片をゲットです! エヘッ!」

 これで残りは88個の霊魂となった。

「お礼にあなたは今日から天狗のテンテンよ!」

 いきなり改名させられる天狗さん。

「名前なんて何でもいいから命だけはお助けを!」

 あっさり天狗さんは改名を受け入れた。

「この調子でドンドン行くわよ。エヘッ!」

 可愛さ全快のエヘ幽霊。

「河童さん!」

 おみっちゃんは河童に会いに来た。

「河童さん。霊魂の欠片を頂戴。エヘッ!」

 可愛くおねだりするエヘ幽霊。

「どうぞ! だから歌だけは歌わないで下さい! 私、死んじゃいますから!」

 河童さんも天狗さんと同じ反応だった。

「おまえらは私を何だと思っているんだ?」

 それでも河童の霊魂の欠片を手に入れたおみっちゃん。

「やったー! これで霊魂を集めるのも後97個ね。エヘッ!」

 順調に霊魂を集めていくエヘ幽霊。

「お礼にあなたの名前は今日から河童のカッカッよ。」

 ドンドンフレンドリーな名前にお友達を改名していくおみっちゃん。

「この調子で良いなら早送りで十分ね。エヘッ!」

 悪いことには頭が回転するエヘ幽霊。

「あなたは今日から提灯お化けのチョウチョウよ!」

「あなたは今日から唐傘お化けのカラカラよ!」

「あなたは今日からのっぺらぼうのノッノッよ!」

 次々と霊魂の欠片を集めるおみっちゃん。

「これで残りは94個ね。意外と楽勝じゃない。エヘッ!」

 上機嫌のエヘ幽霊。

「お馴染みの連中は省略でいいわ。問題はここからよ。」

 次の段階に入る霊魂集め。


「霊魂狩りしようぜ! エヘッ!」

 エヘ幽霊は100個集めると夢が叶うという霊魂を集めるために無実の妖怪たちに戦いを挑む。

「さあ! あなたたち! 戦いなさい!」

 おみっちゃんは自分では戦わない。

「ええー!? ブーブー!」

 お友達の妖怪からはブーイングの嵐。

「当たり前でしょ! 私が戦ったら歌って終わりなんだから! エヘッ!」

 これでも歌っただけで全宇宙を支配してしまったデスボイスをお持ちのエヘ幽霊。

「奴隷だ・・・・・・私たちはおみっちゃんの奴隷だ・・・・・・。」

 絶望するお友達たち。

「はい! 7匹目の妖怪ぬりかべさん!」

 壁の妖怪ぬりかべが現れた。

「私たちでやるしかない! やらなければおみっちゃんに殺されるのだから!」

「おお!」

 お友達妖怪たちは命には代えられないので戦うことにした。

「くらえ! 必殺! 丸のみ!」

「ギャアアアアアアー!」

 ガッキーはぬりかべを食べた。

「霊魂ゲットだぜ!」

 霊魂の欠片残り93個。

「はい! 8匹目の妖怪ぬらりひょんさん!」

 ずる賢い妖怪ぬらりひょんが現れた。

「くらえ! 必殺! 竜巻&火炎!」

「ギャアアアアアアー!」

 テンテンはぬらりひょんを倒した。

「霊魂ゲットだぜ!」

 霊魂の欠片残り92個。

「はい! 9匹目の妖怪火車さん!」

 火の車の妖怪火車が現れた。

「くらえ! 必殺! 水鉄砲!」

「ギャアアアアアアー!」

 カッカッは火車を倒した。

「霊魂ゲットだぜ!」

 霊魂の欠片残り91個。


「ストップ!」

 ここで総合プロデューサーの女将さんが止められる。

「このペースでやっていて面白いのか? ってことだよ。」

 疲れるだけで面白くない。

「最強が最初からいるって大変だな。」

 例えると北斗の拳、るろうに剣心。彼らはどうしていただろう。

「あたたたたは野党に難民が惨殺。それを世紀末救世主が野党を殺しておしまいの同じことの繰り返し。」

 ・・・・・・なぜウケた? 野党がブシュブシュ爆発して死んでいくのが面白かったのだろう。インパクトは巨人に人が食べられる以上にあった。

「おろ? はグダグダやっているが最後は最強の侍があっさりと悪党を倒しておしまいの同じことの繰り返し。」

 なぜウケた? やはり最強。圧倒的に強い。正義貫徹。勧善懲悪。まあ、一般大衆が好きそうな所。

「茶店の歌姫もグダグダからの歌殺でフィニッシュ! の同じことの繰り返し。」

 悪くはないと思うんだけど漫画にもアニメにもなる予定はないので一般大衆の反応は分からない。まあ、ネット小説投稿サイトに素人が投稿してもコネ持ちにアイデアをパクられるだけだしね。

「最初にどれだけ災難を描くか? どれだけ不幸に落とすか? そこからの逆襲の主人公。」

 ウケる流れだね。後はひたすら戦い。戦いだけさせてればプチ・エピソードすら要らないもんね。

「毀滅はなぜウケたんだ? 最初は家族殺されて、妹を鬼にされて、妹を人間に戻すんだの開始。後はエピソードもなく、ただ戦いを繰り返しているだけ。何も新しいことも無く、他の漫画やアニメと同じ内容の繰り返し。」

 強いて言えば金儲けしたい大人が多く乗っかっただけの大人の事情で打ち上げただけの定番作品・・・・・・。 

「ん? んん!?」

 定番? そうか。難しい内容の作品は一般大衆が理解できないから、既存作の設定とキャラクターを変えただけの定番でいいのか。

「毀滅も進撃も漫画の絵は汚かった。読む気はしない。ただアニメになって人気に火が付いた。」

 アニメ制作会社の人たちが偉いわ。

「ということは、漫画や小説の原作は汚くても良いということになる。」

 アニメにしてもらえるコネがあれば。

「定番にしよう。」

 面白くないから頓挫ばかりしてるけど、逆に一般大衆には面白くない定番が一番面白いのかもしれない。他の作品と代わり映えの無い定番にしよう。


「私は女神です! エヘッ!」

 確かに天界も支配したので女神を名乗ってもおかしくない。

「雑魚に戦ってもらって、私が女神として最後に歌を歌って終わらせよう。エヘッ!」

 食い逃げ犯を懲らしめる? いや、茶店に拘り過ぎか? もっと自由に何でもいいのだ。

「一回、茶店の歌姫から離れた方がいいのか?」

 例えば、天下統一。おみっちゃんの場合、歌さえ歌っていればデスボイスで全国を蹂躙し天下統一してします。それこそ関ヶ原の戦いはないのだ。ラオウのような強敵をでっち上げても、おみっちゃんが歌えば一瞬で滅んでしまうからだ。

「戦いになりませんな。エヘッ!」

 自分の強さに酔いしれるエヘ幽霊。やはり最初から強いではいけないのか? 自分が弱いと自分が傷つく。でも自分が強すぎると他人がいじめられているのを助ける物語になる。理解力、天才。

「弱い者いじめはやめなさい!」

 最強の勇者おみっちゃんは弱い人を助ける。これなら一般大衆にウケそうだ。

「おかしい!? 私の夢は江戸で歌姫になることだったはず!?」

 ワンピース的に島の設定を変えて延命に長く続けているだけ。昔のドラゴンボールのようにスポンサーもやめさせてくれないだろうし、もう最後が知りたいだけで興味なし。毀滅は4年でやめれて良かったね。スムーズだ。最終回の現代は腐っていたけど。

「おみっちゃんに守られながら、弱い仲間が強くなる?」

 ケンシロウとバット? 剣心と弥彦?

「ネット小説投稿サイトのファンタジーコンクールの概要で「弱い主人公が大逆転!」なんてあったな。」

 おみっちゃんは弱い。最後に歌を歌って大逆転にしよう。

「これって、茶店の歌姫1に戻った感じ?」

 はい。その通り。そこに飽きて新しいものを探して迷走して、結局、原点に戻るって感じ。

「何をアホな苦労をしているんだか。」

 定番で同じ内容の繰り返しでいいなら、やっぱりドラえもんやアンパンマンのスタイルで良いのだ。

「定番でいいや。同じことの繰り返しでいいや。もう考える苦労はしません。禿ちゃうから。アハッ!」

 ミッキー笑いで締めくくろう。

 つづく。

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