第7話 エヘッ! 7
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」
おみっちゃんは居候させてもらっているので保護者代わりの女将さんの茶店を手伝っている。
「そうなんです。私は苦学中学生なのです。エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「おみっちゃん。サボってるとお小遣いを減らすよ?」
守銭奴な女将さん。
「働きます! 働きますからそれだけは勘弁してください!」
減給に弱いおみっちゃん。
「分かればいいんだよ。分かれば。イヒッ!」
女将さんはおみっちゃんの扱い方に慣れている。
「クソッ。いつか大きくなったら痛い目に合わせてやる。」
復讐に燃えるおみっちゃん。
「なんか言ったかい?」
不審な目でおみっちゃんを見る女将さん。
「言ってません! 何も言ってません! さあ! 気合を入れて働きますよ! いらっしゃいませ! 大安売りだよ!」
茶店で安売りはやっていない。
(クソッ! 女将さんは私の歌の弱点を知っているからな! 私のデスボイスでは倒せない! 何か策を考えなければ! それまで精々お金を稼いで喜んでいるがいい!)
おみっちゃんはとても良い子です。
「お嬢ちゃん! お酒を持ってこいや!」
たまに茶店には酔っ払いがやって来る。
「すいません。うちはお茶しかないんですが。」
おみっちゃんは優しくお断りを入れる。
「なんだと!? お客様に歯向かうっていうのか! 酒を持ってこい! うい!」
酔っ払いの横暴が続く。
「どうしましょう? 女将さん。」
おみっちゃんは責任者の女将さんに尋ねてみた。
「歌っちゃおうか。おみっちゃん。」
女将さんはおみっちゃんに歌えと命令する。
「そうですね。茶店の歌姫の力を存分に聞かせてやりましょう。エヘッ!」
大好きな歌が歌えるので大喜びのエヘ幽霊。
「え!? 歌を歌ってくれんの! いいね! お嬢ちゃん! 歌えや! うい!」
酔っ払いは普通の歌が聞けると思っている。
「1番! おみっちゃんが歌います! 曲は茶店の歌姫!」
おみっちゃんが歌を歌い始める。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「耳が!? 頭が!? 脳が砕ける!? ギャアアアアアアー!」
酔っ払いはおみっちゃんのデスボイスに耐え切れずに消滅した。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「さあ! お金をガッポリ稼ぐよ!」
気合を入れ直す女将さん。
「おお! これで私のお小遣いもアップですね! エヘッ!」
さりげなくお小遣いのベースアップを要求するエヘ幽霊。
「それは却下。」
情けの無い女将さん。
「ガーン! 生きていくって大変だな。私、幽霊なのに。」
幽霊であってもお金が全ての世知がない世の中であった。
「お嬢ちゃん! 隣に座ってお茶を注いでくれや!」
また変なお客さんがやって来た。
「あの、うちはお触りは禁止なんですけど。」
おみっちゃんは気持ち悪い男性を嫌がる。
「なんだと! それが客に向かって言う言葉か! 態度が合悪い! 俺様が粛清してやろう! ウッシッシ―!」
茶店をやっていると変な若いお兄ちゃんもやって来る。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
そんな時にはデスボイス。
「お嬢ちゃん! この団子にゴキブリがついてるぞ! 代金は払わないからな!」
無銭飲食のお客さんもやって来る。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
そんな時にもデスボイス。
「美味しかった・・・・・・さらばだ!」
食い逃げなんかもやって来る。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
そんな時にもデスボイス。
「ありがとう。美味しかったわ。また来るわね。」
たまに良いお客様もやって来る。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
そんな時にもデスボイス。
「しまった!? 間違えた!? 可愛いから許してね。エヘッ!」
笑って誤魔化すエヘ幽霊。
「こんな四コマ漫画の様な単純な物語でいいのだろうか?」
朝起きてふと思う。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! の数だけ派手なライブシーンがあり盛り上がる。後は戦闘シーンかな。エヘッ!」
1話5000字でも、これだけ単調ではアニメ5分で終わってしまう。何とかせねばと思うエヘ幽霊。
「そもそも私は妖怪だから妖気なのかな?」
おみっちゃんは妖怪です。
「でも私は幽霊だよね? それなら霊気なのかな?」
おみっちゃんは幽霊でもある。
「ピキーン!」
その時、おみっちゃんは閃いた。
「妖気と霊気のダブルゲージにしよう! これなら主人公として恥ずかしくないステータスだ! エヘッ!」
自分のことが可愛いエヘ幽霊。
「ピキーン!」
その時、更におみっちゃんは閃いた。
「可愛さもパワーゲージにして、トリプルゲージにしよう! 雑魚の3倍のパワーがあるよ! エヘッ!」
何でもありのエヘ幽霊。
「どのみち、私の場合、歌を歌って終わりなんだけどね。エヘッ!」
エヘ幽霊は茶店の歌姫ですから。
「目指せ! サザエさん先輩! でもサザエさんに戦闘シーンはなかったかな?」
あります。サザエとカツオのせめぎ合い。そうか。そこで盛り上げていたのかっと納得しておこう。
「何と戦おう?」
これが基本である。
「今回の現代ファンタジー中学生では、ビルディング、信号、車、壁、教師、テスト、迷惑な客と戦ってきた。」
こんな単純でいいのか? いいんであろうな。それが一般大衆にも分かりやすい身近なサザエさん方式だもんな。
「やはり私が幽霊だから妖怪かな?」
酒呑童子に、玉藻の前、大嶽丸、鬼奴子。
「でもウケるのは悪い人間、ムカつく人間かな?」
暴力、いじめ、パワハラ、セクハラ。
「北斗の拳って、最初は雑魚ばっかだったな。何がいいんだ?」
雑魚が総会に頭を破裂して死んでいく所。ウケるのは進撃の巨人の巨人に人間が食われて行く所。ポイントは一緒か。
「私の歌で歌殺するのもノリは一緒なんだよね。」
アイドルモノも二番煎じ、三番煎じばっかりなんだけど、儲かるから永遠に出てくるな。戦闘モノの方が続いてる歴史は長いな。
「そうか。次のネタがなくなったから北斗の拳も進撃の巨人も終わったんだ。」
どちらかというと、ワンピースもあと知りたいのはどう終わるかだけ。まあ、ワンピースの財宝が旅仲間であるオチは確実だろう。
「何でもモチーフにして戦わせればいいのか。とりあえず春夏秋冬から始めるか。エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「私は季節四天王の一人春のスプリングだ。」
楽だけどなんか恥ずかしい。
「同じく夏のサマー。」
「秋のオータム。」
「冬のウインター。」
これを侍なのか、騎士なのか、魔法使い、モンスター、魔王、ガンダムという職業にしてしまえばいいのだ。
「ブラッククローバーなど例えると巨人の世界を魔法使いの世界に変えただけ。」
まあ、もうこの辺はどうこう言っても仕方がない。これを言っていると、どの物語も進まなくなる。
「一月の侍ジャニュアリー。」
「一月の騎士ジャニュアリー。」
「一月の魔法使いジャニュアリー。」
「一月の毀滅隊ジャニュアリー。」
「一月の調査兵団ジャニュアリー。」
「ジャニュアリー・ガンダム。」
「魔王ジャニュアリー。」
設定換えただけで一緒。
「書けないで、こういうことを考えている時点で茶店の歌姫は終わりなのだろう。」
おみっちゃんの歌が強すぎて敵がいないとです。
「インフレしない物語?」
アンパンマン、サザエさん、コナン、アイドルモノ。茶店の歌姫も歌で終わるからインフレはしない。ただ同じことの繰り返しの内容で飽きるんだよね。1話完結で一般大衆が見やすい、入りやすいということはある。
「飽き防止で新キャラ、新アイテムを投入するのだが・・・・・・。」
それでもパターンは同じ。
「それかインフレさせて終わる物語として書き始めるか?」
延命さえしなければ潔いか。
「ウケるのは分かっているので、ひたすら戦い続けるか。」
もしかしたら、それが一番楽かもしれない。
「1番! おみっちゃんが歌います! 曲は茶店の歌姫! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
話がまとまったので歌って終わらせよう。
「私に勝ったら、美味しいお茶とお団子が無料になりますよ! エヘッ!」
挑戦者の目的はお茶とお団子の無料である。これが7つの竜玉、財宝、若さ、不老不死、黒の組織、等々の採取目的と同じである。
「俺が挑戦しよう!」
いつも茶店には無料サービスを求めて挑戦者がやって来る。みんな無料には目がないのだった。
「俺は魔王スライム! 美味しいものに目がないのだ。ワッハッハー!」
挑戦者が現れた。これで登場人物は毎回変えられる。
「お相手しましょう! エヘッ!」
余裕のエヘ幽霊。
「いくぞ! 魔王流奥義! スライム斬り!」
挑戦者の攻撃。
「ギャアアアアアアー!」
おみっちゃんは倒された。
「やったー! これで無料でお茶とお団子が食べられる! わ~い!」
大喜びの挑戦者。
「良かったですね。エヘッ!」
死んだはずのエヘ幽霊が笑顔で現れる。
「ありがとう・・・・・・ギャアアアアアアー! お化け!?」
挑戦者は驚く。
「失礼な! 私はお化けではありませんよ! 可愛い幽霊です! エヘッ!」
自己主張できるエヘ幽霊。
「ふざけるな! 人をバカにするにも程があるぞ! ウオオオオオー!」
怒る挑戦者。
「まあまあ、怒ららないで下さいよ。お詫びに私が歌を歌わせてもらいます。エヘッ!」
歌うことが大好きなエヘ幽霊。
「別にいらん。」
挑戦者は歌を断る。
「まあまあ、そんな縁了しないで。1番! おみっちゃんが歌います! 曲は茶店の歌姫! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「なんだ!? 頭が割れる!? 体が引き裂けそうだ!? ギャアアアアアアー!」
挑戦者は苦しんでいる。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
更におみっちゃんは歌い続ける。
「ギャアアアアアアー! アベシ! ヒデブ! フンゲー!」
挑戦者はおみっちゃんの歌に耐え切れずに吹き飛んだ。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
爽快なエヘ幽霊。
「賞品のお茶とお団子は私がまかないとしていただきます。美味しい! エヘッ!」
お団子を笑顔で食べるエヘ幽霊であった。
つづく。
「これを基本ベースにしよう。」
原本が出来上がった。
「新キャラクター役の敵の種類。新アイテム役の道具の種類。出来事の種類などを決めていけば10万字も簡単に埋まるだろう。」
結局、どれだけ試行錯誤をしても同じものしか生み出せないのか? 例えるとコナンもワンピースも何でも毎回パターンは同じ。少し設定を変えて繰り返しているだけ。
「最初から終わりまでの物語で潔く終わるか? 初代が終われば、2、3。Z、ZZ。アクアに、虹が先。」
軽く設定を変えただけで同じことの繰り返し二匹目のドジョウ狙いばかり。
「答えはない。」
そういうことにしておこう。
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