9.二人きりになりたかっなんだけど

なんで着いてくるんだよジュンシー…

少しでも彼女を早く手に入れる為に忙しくしているからやっと2人きりというのに…

最近忙しすぎて[変な考えを消すためもあるが]なかなか会えなかった。

それを邪魔しに来るとか本気で狙いに来てるの?

絶対渡さないよ?


「ごめんね。せっかくあなたとの逢い引きの予定だったのに。」


髪サラサラだなぁ。こうして触れても意識して貰えないの1番辛いんだけどなぁ…

ほんとどうしてこんなに惚れ込んじゃったんだろう。


「ジュンシー様がいらっしゃるのはいいのですが…逢い引きの意味を辞書で引き直されたらいかがですか?」

「じゃあデート?」

「そこではありません。」

「えーっと"逢い引き"ってどういう意味の言葉なんですか?」


ちょっ…入ってこないで!


『ジュンシー覚えなくていいよ。それよりどこ行きたいの?』

「?リヴィ焦ってるんです?あぁ!そういう事かぁ~。」


ろくに長く付き合ってないな、バレてる…

ニヤニヤしてるのがイラッとする。


「どこを見ても敵ばっかり…」

「リヴィがさっさと捕まえないからそうなるんじゃないですかねぇ~?」


あぁもう本っ当に…



***



「シャル!あなたのオススメのお店はどこですか?」

「私ですか?あっ!あそこのお店のケーキはとても美味しかったですよ。」

「この前そこに連れていった時あんまり好きじゃありませんとか言ってなかった?」

「殿下とご一緒した時に頂いたものがあまり好みではありませんでしたの。別の日に侍女が買ってきてくれたものは美味しかったですわ。」


やっぱり好きだったんだね。

おかしいよね?シャルの1番好きなケーキはイチゴのショートケーキ。

あの時食べてたの1口貰ったけどすごく美味しかったよね?

帰ってから美味しかったと悔しそうにしていたと聞いたよ?


「ねぇシャル。」

「は、はい。」

「リヴィと行ったことないお店でオススメのお店とかある?」


ジュンシーを睨みつけるけどむしろニヤニヤしてきた。


「殿下と?ですか?……貴族があまり行くような場所ではないですが…いいでしょうか?」



***



「こちらです。私実は料理などにも興味がありまして…貴族がやるような事ではないとわかってはおりますけど…その…こっ、こちらのお店は他では扱っていない食品も置いてありまして…」


僕が驚いてしまったのも無理もない。

これは聞いてないで。

恐らく貴族として…とか思って教えてくれなかったのだろうけど…

そんなことで嫌いになんてならないしむしろ…もっと早く知りたかった…


『やはりシャル…』


ん?


『あなたのような素晴らしい女性を我が…いてっ』


軽く殴ってしまった。

まぁいいだろう。ジュンシーだし。

いつまで手を握ってるんだ…


『人の婚約者に何するの…』

「あのー。そろそろ手を…」

「あぁ!これはすまない。でも滑らかで綺麗な手ですね。ずっと触っていたくなるほど。」


それはわかるけど人の婚約者に安安と触れないでほしい。


「ありがとうございます。侍女やメイドが頑張ってくれているからですわ。」

「あなたは料理もするの?」

「するという程ではございません。家の料理人の凄さがわかりますわ…私にはとてもあれ程のものを毎日…無理ですわ。」


視線を少し落としてなんとも言いにくそうに…

こういう反応は新鮮でとてもいい。


「よかったら今度何か作ってよ。」


驚いた表情シャルは普段では考えられない。


「えっ!ずるい!私にも作ってくださいよー。」


即刻国に追い返そうかな…

さすがに出来ない身分だから余計にイラつく。


「お2人ともお心遣いは嬉しいのですが王族の方々が口にするものを作るなど私には荷が重いですわ。それに体調を壊されたりした場合に私では責任をとる事が出来ませんので、慎んでお断り致します。」


シャルの意見は最もだ…残念だけど…

でも…

その言い方だと彼女を王族にすれば問題ないよね?ならあと1年…それまでに振り向かせなきゃな。

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