2.潰しても問題なさそうだからね

まず、両親に好ましく思っている人がいると伝えたらそれは嬉しそうな顔をした。

王族とはいえできるだけ好きな人と結婚して欲しいようだ。

だがその相手がティファニー公爵家の令嬢、シャルロット・ティファニーと伝えればその表情は曇った。

それはそうだろう周りが黙っていないのが目に見えているのだから。

特にティファニー公爵家のことをよく思っていないものが…

ティファニー公爵は自らの結婚で迷惑をかけたと、とてもよく働き改革も進めている。

改革は素晴らしいものなのだがそれが面白くないものもいる。

彼がしているのは政治の透明化なのだ。

彼の領地では教育に力を入れていたため政治の…例えばお金の流れの数字を公表すれば読み解けるものがほとんどだ。

すでに彼の領地ではそれが行はれている。

それを国全体として進めようとしている。

王家としては良いと思っているのだが面白くないものつまり…後ろめたいことがあるものが反対しているのだ。

反対しているものが力のあまりないものならばよかったが…

それがティファニー公爵の派閥の次に力を持つ派閥となれば厄介極まりない。

必ず反対してくる。


だから彼女と婚約し、その反対勢力への計画を両親に話し…

水面下に計画を進めた。

幸いというか当たり前なのだがその派閥のものは古くからあるため力がある|だけ≪・・≫で重要な職に就いているものなどはいなかった。

本当に力あるものならば何かしらの役職についているはずだし、そんなものがそんな派閥にいる意味などないのだから。

ようは潰しても問題ない。



***



彼女と婚約をするまで予定よりも時間がかかった。

その間に彼女に誰か想い人ができるのではと気が気じゃなかった。

公爵には僕が彼女との婚約を考えていることを話したがあまりいい顔はされなかった。

なんでも彼女には自分たちと同じよう自由に恋愛をしてほしいそうだ。

だが僕が彼女のことが好きだから婚約したいことと計画のことを話せば面白い話をしてくれた。

彼女には想い人などはいないが”私の結婚相手は最高であまり力のない伯爵位で、もはや平民とでもいいです!”と元気に豪語しているのだとか。

彼女の言い方を再現したのかかなりおかしな公爵に笑ってしまった。

なんでも自分の家への力の寄り方がよくないと考えて周りの貴族から危険視されないようにとにことらしい。

言いたいことは分かるし理にかなっているが…

そんなことを考えていると公爵が付け加えるように言った。


「娘は親の贔屓目を抜いても容姿や振る舞いは素晴らしく頭もよいですが…少しいいえかなり変わった性格をしているのです。」


まぁさっきの発言から変わっているとは思ったが…

公爵が言葉を続ける。


「社交の場では”シャクナゲの令嬢”やら”令嬢の鏡”やら言われているようですがそれは社交の場での話であって本来の娘は理|には≪・・≫かなっているもののかなりぶっ飛んだことをやらかすのです…家族にとってもシャクナゲのように危険で用心が必要なのです。」

「それは意外だね。」


意外だけどそれはそれでとても魅力的に思えた。

そんな人物ならば一緒にいて退屈しないだろうしそんな彼女の心が僕に向いてくれて…

僕の言葉に感情が動いてくれたなら…


「そうなのです。ですから殿下と婚約したとしてもいつなにをやらかすか…」



ティファニー公爵を説得し”娘が了承したのなら…”と渋々ながらに婚約の申し込みを彼女に通してもらうことにした。

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