4.どれだけ見ていたと思ってるのかな?
顔合わせで彼女が来たと聞き向かうときについてこようとする侍従を押えるのに苦労した。
それでも”折角好きな子と会うことができるんだから”と言ったら離れてくれたけど。
彼女がいる部屋に入るとそこには今まで見たことのないドレスを着た彼女がいた。
彼女の瞳を思わせる真っ赤なドレスを着た美少女は僕をその瞳にうつすとにこりと美しい笑みを浮かべた。
危うく見とれそうになり挨拶を忘れるところだった。
「初めまして。またせたかなシャルロット嬢。周りについてこないよう説得してたら遅くなってしまってね。僕はレーヴィ・グリフィン。これからよろしくね。」
「お初にお目にかかりますレーヴィ殿下。そこまで待っておりませんわ。私はシャルロット・ティファニーと申します。」
彼女の礼は本当に完璧で文句の付け所が見つからない。
ただ…
聞いてはいたけど想定以上に…
ドレスが派手というか露出が高い。
無防備過ぎない?
公爵の忠告がなかったら戸惑いを隠しきれなかったかもしれない。
彼女は僕に悪い印象を与えたいんだよね?
誘惑されてるようにしか感じない…
確かに派手な印象を与えれば金遣いが荒いとかわがままそうという印象を与えるけど…
「堅苦しいのはいいよ。折角来たんだからゆっくり話そう?」
「ありがとうございます殿下。」
「そういえば…」
考えが変わって受け入れてくれたらと思っていたけど抵抗する気しかないみたい。
絶妙に嫌な雰囲気を混じらせてくる。
ただ今の彼女の表情はどこかパーティーで友人と話しているときよりも駆け引きの相手と話していた時と似ている。
先日、公爵が愚痴のように彼女の話をしてくれた。
友人と話しているときは普通の令嬢に見えるからあれが普段なら…と。
そう考えると今の僕はまだ友人でもないのか…
でも彼女が僕の言動で笑顔を見せたり照れたりしてくれればどれだけうれしいだろうか…
それが見れたら今以上に好きになってしまうのだろうか。
今の彼女のままでも手に入れたいと思うのに…
手を伸ばせば届く距離にいるのに彼女は僕自身には見向きもしない。
僕の立場と婚約したくないだけなのだろう。
こんな立場捨ててもいいがそれでは彼女の目にも入らないかもしれない。
なら彼女が認識しているこの立場を利用して彼女を手に入れてしまおう。
僕が彼女を好きで仕方がない理解させ外堀を埋め、僕との婚約が嫌な理由をなくす。
予想される危険はすべて取り除こう。
その間に彼女が僕自身のことを少しでも好意的に認識してくれたら…
***
しかしその認識は甘かった。
距離を詰めても全く意識されず、周りは気づいているのに彼女だけは気が付いてくれない。
鈍すぎる…
聞いてはいたが…
彼女は周りから”令嬢の鏡”と言われ憧れであることや”シャクナゲの令嬢”と言われ高嶺の花として見られていることも知らないらしい。
茶会でも恋愛の話題は彼女がいると周りが遠慮して話題に出さないと聞いた。
要は恋愛面への思考がほぼないのだろう。
愛称で呼ぶのも止められいつまでたっても殿下呼びで名前すら…
16にもなれば見た目の良さも磨きがかかり反対している派閥とは別の敵が増えるばかり。
彼女が出席するものには心配で一緒に出るがそれでも声をかけるものが後を絶たない。
今もこうして…
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