第2章 ヒーロー視点

1.あなたは知らないだろうけど

12歳の頃たまにはということで変装をしてパーティーの会場に連れていかれたことがあった。

その時に見た彼女…シャルロット・ティファニーの容姿はまだ幼さが感じられるものの初めて心動かされる異性だった。

公爵令嬢ともなれば今まで会ったことがないのが不思議だけど僕はその時初めて彼女を見た。

正直な話一目惚れというもので…それが彼女にバレないで欲しいと思うくらいの恥じらいはある…

まぁとにかく彼女はその年にしては大人びた、可愛さというよりも凛々しさを意識したような衣装を着ていてとても似合っていた。

人の目を引くプラチナブロンドの髪は白く輝き、柔らかくそして丁寧に結われ…

真っ赤で少し釣り気味の瞳はキラキラと光を放ち、見るものすべてを魅了するかと思うほど美しい。

目が合えばニコリと微笑み心臓を…容赦なく撃ち抜かれた。


会場にいる間無意識のうちに彼女を目で追っていた。

友人と話す時のコロコロと変わる可愛らしい表情、大人にも引けを取らない話術、ひとつひとつの動作が美しくそれだけで彼女がどれだけ努力を重ねたかと思うほどだった。

彼女の兄と思わしき人物とダンスをすれば自然と視線が集まっていた。


“シャクナゲの令嬢”


彼女はそう社交の場で呼ばれている。

シャクナゲの花は白、桃、赤の色が主で彼女のもつ色とよくあっている。

花言葉は…危険、用心。

彼女の自身の立場が含まれる意味と推測できる。

この国で王族の次に力を持つ公爵の1つと隣国の王女の娘。

しかも、母親にあたる元王女はその父親つまり隣国の王に溺愛されているという。

彼女の身の振り方で内戦が起こる可能性があるほど…

それほどの危険を持つ。


また…

これは彼女と年の近いものが主だけど彼女に関わるものが次々と心奪われていったこと…

今も彼女を目にして頬を染めるものが多々いる。

令息だけでなく令嬢も憧れや心酔を含む目を彼女に向けている。

僕もその1人になってしまったわけだけど…



***



変装して行ったパーティーで彼女を見るたびに惹かれていった。

凛とした衣装を着こなしているのに彼女の笑顔は周りに花が咲くかのごとく可憐で華やかそれでいて愛らしさも感じる。


「かわいい…」


思わず声が漏れ自分でも驚いた。

幸い誰にも聞こえてはいなかったようで安心したけど僕の正体を知っているものに今のが聞こえたら止められることが目に見える。

それでも彼女が好きになってしまったんだよ…

直接かかわることができずとも魅了されていくから彼女は魔法使いか何かなのではと疑ってしまった。

魔法などある世界ではないのに…

そう思うほど好きになってしまった…

彼女の隣にいるのが僕以外になったら…

その時…その|障害≪・・≫になるものを取り除こうと決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る