8.すっごい嫌なんだけど
謝ろうと思ってもどうすればいいのかがわからないな…
もし怖い思いをさせたなら会いたくもないだろうし…
延々と考えているうちに1ヶ月経っていた。
***
『暇なのかいジュンシー?』
『せっかく会いに来たというのにその対応は酷いなぁ。なに?シャルロット嬢と喧嘩でもした?』
『してないから!』
『なぁんだ。喧嘩していたなら奪っていこうと思ったのに…いい加減に紹介ぐらいしてくれてもいいんじゃない?』
『またそういうことを…だから紹介したくないんだよ。』
『えー。いいじゃないかそれくらい。同じパーティー出てもリヴィが手を回して話しかけに行けないようしてるの知ってるから。』
『なんの事かな?彼女達はジュンシーに興味があって話しかけに行っているんだからその思いを無碍に扱うなんて優しい君がするはずないよね?』
『やっぱりリヴィの差し金か…じゃあ紹介してくれないのなら明日にでも商業地区に行こうかな?』
『なんで明日なの?』
『シャルロット嬢が出かける予定なんじゃないの?』
『なんで知ってるんだよ…』
『口調。リヴィこそ婚約者だからといってそこまで把握してる必要ないんじゃない?で?どうする?』
『どうせジュンシーしかいないから口調はいい。仕方がないから紹介する。
まだ顔合わせるの気まずいけど口実がある分合わせやすいし…
でも会わせたくないなぁ…
***
『ただいまご紹介に預かりましたシャルロット・ティファニーと申します。
こいつにそんな笑顔向けなくていいんだけど…
でもこれはシャルの通常運転だから…
『よろしくね。気軽にジュンシーって呼んで?あなたのように可憐で美しい方が我が国の語学にまで堪能とは…才能ってある所にかたまっているんだね。シャルと呼んでも?』
もう殴りに行ってもいいかな?
一応自分も相手も王族だから間違ってもそんなことするわけには行かないけど…
『ジュンシー殿下ですね?ありがとうございます。ジュンシー殿下のような方に愛称で呼んでもらうなど恐れ多いことですが嬉しいですわ。』
なんでジュンシーにはすんなりと許可するんだろう…
わかってるけどさ…
『んー。殿下って言うのも外して欲しいかな?周りにも昔からそう言ってるんだ。それに…シャルみたいな美しい女性から距離を置かれているように感じるのは悲しいから。』
なにシャルに触れてるのかな?
それから近いよ?
『分かりましたジュンシー様。』
シャルの表情は絶対何もわかってないんだろうな。
***
ジュンシーはこの国にたまに来るからかきぞくの言葉使いくらいならこの国の言語も話せる。
一応。
「でも今まであんまり覚える気がなかったから雑なんですよね~。ほら敬語が混ざっちゃうんですよ。でもこれからはちゃんと覚えようかな?こんなに素晴らしい方とお逢い出来たことですし…」
なんでシャルの手を取ってキスするのかな?
紹介するだけと言ったよね?
もう帰ってもいいんじゃないかな?
「私もジュンシー様のような素晴しい方とお逢い出来たことに感謝しておりますよ。私は言語を覚える時に敬語の言い回し以外も覚えますが敬語しか使うことがないのが少し悲しいんです。」
これは社交辞令社交辞令…
『やはりあなたは理想の人だ…』
だから合わせたくなかったんだけど。
「シャルロット・ティファニー嬢。私と婚約しいつしか結婚してくれないか?」
「何言ってるのジュンシー!彼女は僕の婚約者なんだけど!」
そのままシャルを軽く抱き締めるけど彼女の表情にこの行動に対する動揺はない。
少しくらい意識してよ…
『知ってるけど思っていたよりずっと魅力的だったからつい、ね?』
『つい、じゃないよ。だから会わせる気がなかったんだよ。』
『その癖にかわいいって自慢してくるからいけないんじゃないか。』
『自慢したくなるに決まってるじゃないか。』
『いやまぁそれは分かるけど…ずるいよななんか。リヴィより先に出会っていればよかったのにな。』
『そもそも彼女は別にジュンシーとの婚約は望んでないからね。』
ほんとなんで紹介したんだろう。
紹介しなきゃ1人で会いに行くって言われたからなんだけど…
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