6話

パチパチッ


 棒が刺さった、うさぎ肉と熊肉を立てかけている焚き火から火が弾ける音が聞こえて来る。刺さっているうさぎ肉は、私と真夜が一緒に遭遇した最初のうさぎだ。

 ちなみに他の肉は魔法で凍らせて冷凍保存しておいた。


 私と真夜は、その焚き火を挟んで倒木の上に座っている。


「お姉ちゃん!そろそろいいんじゃない!?」


 真夜が待ちきれないと言った様子で促してくる。辺りは随分と暗くなり、焚き火の炎の明るさが真夜の顔を照らしている。


 本当は焚き火なんてしなくても、炎魔法でもっと辺りを照らせるし、肉も一瞬で丁度いい具合に焼くことができるけど、焚き火って何か憧れるよね。

 焚き火のパチパチ音も良いし、雰囲気ってやっぱり大切だね。


 うさぎ肉を見てみると、いい具合に焦げ目が付いているのがわかる。


「うん、いいと思うよ」


「やった!」


 真夜は、やったの三文字も言い終わる前に手を出し、うさぎ肉に刺さっている棒をとった。


「いただきます!」


「はっや…」


「なにこれおいしっ?!お姉ちゃんも食べてみて!!」


「はいはい」


 私も真夜のように串をとり、口元に運ぶ。


「いただきます」


 なにも調味料がかかってないのに、そんなに大袈裟なリアクションするほどなわけが


「なにこれおいしっ?!」


「ね?言ったでしょ!」


 するほどだった…


 こんな適当な焼き方でここまで美味しくなるって…それほど素材が良かったのかな?もしかしたら料理にも技神の力が働くのかも?


 うさぎ肉を食べ終わり、次に熊肉も食べたけど、こちらも焼いただけなのに物凄く美味しくなっていた。






「食べた食べたー」


「おいしかったね!」


 焼いていた肉を食べ終わり、地面に座って、座っていた唐木を背もたれにする。


「お姉ちゃーん」


「なにー?」


「家の内装ってどんな感じー?」


ギクッ


「た、食べた食べたー」


「……」


 焼いていた肉を食べ終わり、地面に座って


「お姉ちゃーん?」


「食べた食べ」


「家入るねー!」


「わあああああああっ!!?」


 真夜が立ち上がり、家の方に走っていった。私も咄嗟に立ち上がって真夜を追うけど、私たちの足の速さは同じだから追いつける気がしない。


 こうなったら!!


 真夜の前に炎、水、風、土の順番に壁を魔法で創った。これで時間が稼げたら!


 だけど真夜はスピードを落とすことなく、水、炎、風、水の順番に魔法を使って突破する。

 炎の壁は消火し、水の壁は蒸発、風の壁は相殺され、土の壁は泥に変わって崩れ落ちた。


 くそう!我が妹ながら頭がいい!


 真夜が家の中に入り、少し遅れて私も家に入る。真夜はこちらに体を向けて口を開いた。


「別にできてないならそう言えばいいのに。誤魔化す必要ないのに」


「いやぁ、なんとなく……」


「今日はもう遅いし、簡単な眠れる場所作って明日内装を作ろう?」


「はーい」

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