14話
作ったウサギの彫刻は窓になる予定の場所に飾った。
力加減がどれほどできるようになったかを確かめるために、刃物を持って木の前に立つ。そしてそーっと刃を木の右側からあてて左側に動かし、左まで斬り抜け、しばらく待ってみる。
……倒れてこないようなので、木に顔を近づけて確認する。
手前側は斬れているけど、刀身の数センチ奥ぐらいからは斬れてなかった。
「やった!!」
「お姉ちゃーん!!」
少し離れたところから真夜が駆け寄ってくる。
「真夜!私、木を切断しなかったよ!!」
「お姉ちゃんも?私もできたよ!!」
それから少しの間、真夜と抱きしめ合って喜んでいた。
まだ不安だけど、これがないと不便!って家具もかなり少ないけど何個かあるし、家具を作ることにする。と言っても、もうすぐすると日が暮れると思うから、簡単そうな物のみだけど。
手作りで作ろうと決めた時までに、魔法で椅子やテーブルはもう作っている。今何が一番必要で簡単に作りやすいかを真夜と話し合った結果……何もなかった。
いや、ないと不便だと思うものは本当に何個かあるんだけど、テレビとか、掃除機とか、全部家電だった。テレビに至ってはこの世界にあっても意味ないし。
家具作る為に力加減をかんばってできるようになったのに…無駄じゃないと思いたい。
電子レンジや冷蔵庫なんかは魔法でどうにかなるし、あとは家具類って木や石だけじゃ作れない気がする。
……やばい、何もすることがなくなった。というか何もできない。
しっかり環境が整ってからのつもりだったから、もっと遠くの日になると思ってたけど、何もできないならしかたないよね!
「何か使えるものはないかを探しに、あと周りがどんなところかも確かるために遠出しよっか!」
「良いけど、今から?」
「もう遅いし、明日にしよ」
神になって上がった身体能力と魔法があれば1日で探索して、この家に戻ってこられると思う。
夜ご飯は昼と一緒で、肉に果実を潰したソースをかけて食べた。
昨日と同じように簡易のお風呂を作って真夜と一緒に入浴し、今日は真夜が後片付けをする番だから、私は先に家に入る。
しばらくボーッとしていると、足音が近づいてきていたのに気づいた。
「あ、真夜」
「ん?なに?」
「なんでもない」
「そっか」
そんなやり取りをしながら、時間が経過していく。そうして、昨日お風呂に入ってた時間に近づいてきた。
「明日のこともあるし、今日は早く寝ようね?」
「うん!」
私たちは布団に入り…ってそうだった。
「真夜」
「ん?」
私が呼ぶと、真夜は布団に入ったまま顔をこちらに向けてきた。私は起き上がって
「おやすみ」
チュッ
「?!」
恥ずかしい気持ちがあるので真夜と反対の方向を向いて寝る。早く慣れなきゃな……
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