12話

 目が覚めた。昨日のことを思い出して、少し恥ずかしい気持ちもあるけど、真夜を起こすために声をかける。


「真夜、起きて!」


「んん…」


 しばらく声をかけたり、体を揺さぶっても起きなかったので、もう少し寝かせてあげることにした。昨日私より早く寝てたと思うんだけど、夜中に目が覚めたのかな?


 そっと外に出て、朝食用に木に実っている赤い果実を数個取る。この果実、お腹は満たせないけど、味だけは本当に美味しいから。

 朝から肉を食べるよりはいいと思う。


 ある程度果実を回収し終えて、食べやすいようにカットする。刃物だと力加減がまだ出来ないから魔法で。


「よし、終わった…それにしても、真夜全然起きてこないな…」


 家の中に入って確認してみると、やっぱり真夜はまだ寝ていた。


「真夜、起きて!!」


「んん……おねえちゃぁん……」


 駄目だ…体を揺さぶっても全く起きる気配がない。

 それに、寝顔が可愛くてこのままだと起こすのが可哀想になってくる。寝言で私を呼ぶなんて反則でしょ!


 んー…どうやって起こそう?これじゃ昨日と立場が逆転……逆転!?


 そうだ!昨日私がなかなか起きないとき、真夜が私の顔に水をかけたら起きたなら、真夜も起きるのでは?

 真夜もしてきたんだから許してくれるよね!


「真夜〜」


 と言いながら真夜の顔の上に魔法で水を創る。そして


「起きて!!」


 と言うのと同時に水を真夜の顔の上に落とした。


「ぷわっ?!」


「よしっ!」


 思った通り、真夜を起こすことに成功した。


「もうっ!お姉ちゃん!!」


「ごめんね?真夜が全然起きなかったから。昨日の仕返しもちょっと込めて」


「うーー……」


「それより、昨日あんなに寝るの早かったのに、さっき揺さぶったりしても起きなかったんだよ?」


「ああ、えっと、ね?……そうそう!早く寝過ぎて、夜中に起きちゃったんだよ!そこから寝付けなくて…」


「ふーん…」


 何か隠してそう…最近真夜が私を誤魔化そうとすることが多い気がする…


 ていうか、昨日の夜真夜にとって誤魔化すほどの事があったの?

 もしかして…


「昨日の夜、私が眠る時起きてた?」


「ふぇ?!いや、えっと、それ、は……うん……」


「そっ、か……」


 おでこにキスしたことバレてたんだ…


「えっと、ごめんね…?」


「全然!大丈夫!!嬉しかったし!!」


 真夜はもう気にしてないようだ。逆に私はまだ意識してるみたい。


 妹のおでこにキスすることって、普通そこまで意識することなのかな?


 真夜も嬉しいって言ってたし、これから毎日寝る時は真夜のおでこにキスして、意識しなくなるぐらいまで慣らそっかな……

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