23話

「自分でもわからないけど、急に思い出したの」


 そう言って真夜は、私に覆い被さってキスをしてくる。今度は昼ぐらいにもした、ベロを入れたディープキスだ。


「んんっ!んんん…ん……」


 両手で真夜を押し離そうとしたけど、両手首を頭上の床に片手で押さえつけられる。昔から真夜の方が鍛えてるから、全く動かせない。顔を逸らそうとすると、もう片方の手で顎を持たれ、固定された。


 暫く何も抵抗できずにされるがままになっていると、なんで抵抗しようとしてるのかが分からなくなってきた。


「ぷはっ」


「あっ……」


 真夜に口を離され、切なげな声が出てしまったけど、真夜には気づかれてなかった。


「お姉ちゃん、ごめんね?血の繋がった姉妹でこんなこと気持ち悪いよね?でももう抑えられないの」


「真夜……?」


「ずっと前からお姉ちゃんのこと好きだった。ずっと、ずーっと前から。もちろん親愛とか友愛じゃなくてね」


「えっ……」


 真夜が?私を?好き……?


 信じられなくて、少しの間放心状態になった後、段々と涙が溢れてきた。


「泣くほど嫌だ?でももう止まらないからね。せめてお姉ちゃんが気持ち良くなるようがんば」


「そうじゃないの!」


「え……?」


 真夜は、私が泣いた理由を勘違いしてるらしいから、真夜の言葉を遮るように言う。それと同時に体を起こそうと、力を入れたけど、びくともしなかった。


「私、急に真夜に避けられて、気持ち悪がられてたのかと思ってた」


「お姉ちゃんを気持ち悪がることなんて絶対にないから!」


「それは分かってたんだけど、私の気持ちに気づいたら流石の真夜も気持ち悪がるかなって不安になって……」


「……どういうこと?」


「私も真夜のことが好きかもしれないの、真夜と同じ意味で!」


「え…?えっ?!」


 真夜の目からも涙が溢れてくる。だけど私を押さえる手の強さが段々と緩まってくる。


「あ、そうかもしれないってだけだから!まだしっかりとは分かってないから……だからこの気持ちが恋愛感情だってしっかり理解させて?」


 恥ずかしさからか、そんなことを言ってしまった。もう恋愛感情だとわかってるのに……いや、恥ずかしさなんて関係ないか。私がこのまま攻めてほしかっただけだ。


「うん、任せて!」


 私の期待通り、真夜は力を入れ直し、私を動けなくさせた。


 そこからは真夜が肉食獣に変化し、私はほとんど寝転んでいるだけだった。


 ああ、幸せ……




 この光景を見ていたどこかの最高神も、「やばっ、尊すぎ……」と呟き、鼻血を出して倒れたそうだ。


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