17話

「また何かあったの?あんまり思い出せないんだけど…確かトレントが」


「だ、大丈夫!トレントが眠り粉をまいただけだから!!」


「そ、そう?なんか唇が湿ってるような」


「わーーっ!!思い出そうとしなくていいから!それよりも早く探索を始めよ!!」


「う、うん」


 私が歩き出すと、真夜は私の気迫に圧倒されたのか、私のおかしい発言に従ってついてくる。


 はあ、何とか誤魔化せたかな?別に思い出して我慢できずに押し倒してくれても…って何考えてるの私!私がそのチャンスをドブに捨て…じゃない!まだトレントの粉の効果残ってるの?!


「お姉ちゃん、速いって!」


 私は真っ赤になってると思う顔を真夜に見られないように真夜に速度を合わせず歩きながら、解呪の魔法を自分に使い続けた。





 それからしばらく歩いていると、塩の香りが漂ってきた気がする。ザザーっと波の音も聞こえてくる。これは…


「「海だ!!」」


 私と真夜は木々を抜けて海が見えた瞬間、同時に声を上げた。ここから海までは砂浜になっていて、足をつけると多少暑いけど、たいして気になる程でもない。


 波に足が軽く浸かるところまで行き、真夜と一緒に手を大きく手を広げて、すーーっ、はあーーーと息を吸う。


「気持ちいいね!」


「そうだねー…」


 真夜の言葉にのんびりと返事をする。しばらくそうしていると、近くから砂浜を歩く音が聞こえてきた。


「やあ、お姉さんたち」


 私と真夜が不審に思いながらそちらを向くと、爽やかな笑顔を顔に浮かべながら片手を上げて近づいている、イケメンの部類に入るであろう金髪碧眼の青年だった。よく見ると、頭に角がはえている。


「何ですか?」


 私がその青年の目を見て返事を返すと、突然青年は顔にニヤリと笑みを浮かばせて、


「俺のチャームの魔眼を見たな!この目を見た女はショタコンでもブス専でも、どんな性癖でも従順になるんだ!一部例外はあるがな!!それは神でも例外じゃないはず!!」


「「えっ?!」」


 私と真夜は急いで青年から距離を取って自分に解呪の魔法を使おうとするけど…………いつまで経ってもチャームらしき効果が感じられなかった。


「「あれ…?」」


「おかしい?!俺の魔眼が効かないなんて、そんなはずが……ま、まさか!!お前ら2人とも男に興味がない…女にしか興味がないのか?!」


「えっ?!」


「お前、私たちを神と分かってチャームをかけようとしたよね?どういうつもり?」


 真夜が男に詰め寄って、本気で怒りながら問い詰めているけど、私の頭の中では、さっきの男の言葉が繰り返し響いていた。


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