25話

 久しぶりの野菜に感動しながら、朝食を食べ終えた。昨日の夜のこともあり、今日は探索をせずにのんびりと過ごすことにした。


 のんびりすると言っても、あまりすることはないかなーって思ってたけど、家の近くにある湖に魚が泳いでいるのが見えて魚釣りができると気がついた。


 今は魚釣りのための釣竿を作っている。長い木の枝を選び、魔法で性質を変化させて柔軟性を高くする。

 糸がなかったから、海藻を強度を魔法で強くして代用した。

 その先にオリハルコンの釣り針をつけたら完成だ。


 真夜もほとんど同時に出来上がったようだった。


 湖のそばに木の椅子を置き、その隣に、浴槽のようなものを土の魔法で作って湖の水を入れる。


 椅子に座って釣竿を振る。ポチャンッと音を立てて針が湖の中に沈む。針にはサイコロ状に細かく分けた獣の肉をつけておいた。

 事前に、湖に肉を撒いてみて魚が肉を食べるかは検証済みだ。しっかりと食べていた。


「お姉ちゃん」


「ん?なに?」


 しばらく魚がかかるのを待っていると、真夜から話しかけられた。


「せっかくだから、どっちがたくさん釣れるか勝負しようよ!」


「わかった、罰ゲームはどうする?」


 真夜と勝負する時は大体罰ゲームもつけていたから、今回もあるだろうと思い真夜にそう聞く。

 真夜の方を向くと、真夜が持っている釣竿の先が私のより下に曲がっている。

 あれ?


「えっとねー、じゃあ勝った方の言うことを何でも一つ聞くってのはどう、かなっ!!」


 真夜は釣竿を振り上げながらそう言った。その釣竿の先の針には魚がついていた。


「よしっ!私が一歩リードだね!!」


 真夜は針についている魚を外し、隣の浴槽のようなところに入れる。


「ずるっ!!ノーカン!!」


「ほとんど同時に始めたんだからずるくないもーん!」


「うっ……」


 確かにそうだけどさあ!!





 魚釣りは一度昼食で休憩して、それから夕方まで続けた。

 釣れた数は私が十六匹、真夜が二十三匹だった。最初の一匹をノーカンにしてもらっても全然負けてる結果になってしまった。


「罰ゲームは私の気が向いた時にね!」


「えっ?!」


 それって一番怖いやつじゃん……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る