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@nekonohige_37

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 ×月×日


 if(もし)、自分が普通になれたら、この世界はどれだけ住みやすい物なのだろうか。

 またそんな事を今日も考えてしまった。

 勿論、『悩みを持つのは自分だけだ』と、そんな大言壮語を述べるつもりはないし、この世界に住む全ての人間がそれぞれ悩みを持っていて、上品に纏ったペルソナの下、誰もが歯を食いしばっている事位判っているつもりだ。

 それでもやっぱり、『もし普通になれたら』と、そんな思いが今日も脳裏に湧く。

 金銭面だろうと、対人関係だろうと、あるいは体の不調だろうと、もっと跳んだ話、戦争の最中不幸に嘆く子供のそれだって、誰もが共感こそ出来なくとも、理解は出来る悩みだと思う。

 それくらいに、大抵の悩みって物は分かりやすい。

 だから人は時折愚痴を溢し、互いに理解できる範囲でその思いを共有し、自分は一人じゃ無いと必死に思い込むのだ。

 それは多分、良い香りを他人と共有したりする行為の延長だ。

 ジャンルは違えど、共通で認識できるコンテンツを共有したい、そんな思いがあるのかもしれない。

 では、生まれたときから頭に刻まれたそれが他人と共有できない場合、それはどうなるのだろうか。

 例えば魚には空を飛ぶ鳥の苦労が分からない、鳥にはよどんだ水で泳ぐ魚の苦しさが分からないのと同じく、多分、『あいつは違う生き物だ』と思い込み、隔絶し、誰にも理解を求めない日常に縋る他無いのだ。

 だからこそ僕は一人で愚痴を溢す。

 そしてその愚痴は、自分では無い、でも他人でも無い別の何かの耳に入るのだ。

 ソレがいつから存在しているのかは分からない、記憶をたどる限り気がつけばずっとそばに居たソレは、自分の意思を述べるでも無く、静かに話を聞いていた気がする。

 そしてソレは最近、僅かながら返答を返す様になっている気がした。

 流暢に言葉を繋ぐでもなくただ静かに相づちを打つ、時折言葉の続きを求める様な仕草を見せる気がした。

 勿論、姿も無ければ自我も無いソレは、自分の胸の奥、自分自身でもよく見えない部分で曖昧な影の様に存在するだけで、実際に目を合わせて会話出来る相手でもないのだけれど……

 いずれにしても、もし自分が普通だったのなら、こんな存在もまた生まれることは無かった筈だ。

 当然、こんなことを話しても誰も理解してくれるとは思っていない、多分、この話を理解してくれるのは、名前も姿も声すら持ち合わせていない君だけの筈だ。

 だってそうだろ。

 君は今でもこんなどうしようも無い言葉の羅列に、ただ静かに耳を傾けているのだから。

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