第13話 再会の手がかり

 トモミが、つまりは俺がこのマンションに来るかも知れないとも思っていたが。

 

 来ない。


 万事休すか?

 イヤ待て、諦めるには早すぎる。


 連絡が来ないんだったら、俺の方からトモミに会いに行けばいいじゃないか。


 思い立ったら即行動。

 とにかく俺に、タカノトモミに会わなければ。


           ◇


 もう3年も住んでるアパートだ。

 ケータイでマップなんて見なくても行ける。


 だが。


 辿り着けない。


 アパートが見えているのに、気づいたら違う道を歩いてる。


 ナゼだ? どうなってんだ?

 何かに化かされてるのか?

 これも『あのお方』の仕業なのか?


 もしかして、タカノトモミも同じ状況なのかもしれない。

 

 だとしたら、これはまいったぞ。

 どうしたもんかね。


 俺の行動とタカノトモミの行動から分析するに、二人の接点なんてほぼ皆無。


 あの晩、タカノトモミのマンションの近くを通ったのもたまたまだ。

 

 どこかで偶然に出会うなんてあるか?

 その可能性はかなり低いだろうな。


 うーむ。こまった。


 ……あっ。


 タカノトモミの、『ふにぷにおもち』のホームページを見れば何かわかるかも知れない。


 なんでもっと早く気付かなかったんだ?


           ◇


「ん……これって、もしかして……」


 タカノトモミの『ふにぷにおもち』のホームページ。

 ネットにあげたイラストのコメント欄に『真っ白い手紙について語ろう』だなんて。


 ほぼ毎日、全ての絵のコメント欄に書き込まれてる。


 数百を超えるイラストの全てにだ。


 何日か前から書き込みはあったみたいだな。

 気付かなかった俺が悪いってコトか。


 白い手紙の存在を知るのは、おそらく彼女しかいない。

 


 俺達は、数週間ぶりに会う事となった。

 ようやくだ。



 初めて会った時は幽体だった。

 生身の身体で、しかも入れ替わった状態で会う事になるなんてな。


 何を着て行こうか……やっぱり制服が一番だろう。手軽だし。


 なんだろうな。

 ちょっとワクワクしてるな、俺。


 離ればなれだった二人がようやく再会。


 彦星と織姫のような、ってワケでも無いが。

 このシチュエーションにワクワクしてるのかも知れないな。

 

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