第7話 タカノトモミの独り言 1

《 Side * タカノトモミ 》


 私は今、オジサン。

 変なオジサン。


 イヤ、ちがくって。


 アシ子に突き落とされて、オジサンに直撃して死んじゃって。


 あれって、私が殺しちゃった事になるのかな……?


 オジサンに当たっちゃったのは事故だったんですけどー。



 なんか突然、謎の白い光に包まれて、目が覚めたら私はオジサンになってた。


 アシ子って、私のコト殺したいくらいにキライだったのかな……ちょっとショックなんですけどー。


 アシスタントだからアシ子って呼んでいいって言ってたのに、それがイヤだったとか?


 そんなワケないか。

 今はまあいいや。

 この状況を何とか乗り越えないと!


 私宛てに届いた謎の手紙。


 差出人は不明。でもわかる。

 きっとあのお方だ。神サマ的なナニかでしょ。


 でも、誕生日が同じで『トモ』繋がりってだけでミスするの?

 ウケるんですけどー。


 そんでもって、コレって。

 入れ替わり転生……web小説かっ。


 三日間とは言え、オジサンになるコトに、って!

 うええ、キモいっ!

 キモすぎるっ!


 なんで私がこんな目にっ?


 うえええ、キモいよう。


 でも三日! 三日間だけガマンすればっ!


 私が空から落ちてきて、このオジサンもろとも脳ミソぶちまけて死んじゃうハズ!


 オジサンには悪いけど、私はオジサンとして生きる気は無いのです。


 三日かあ……


 短いようで長いんだろうなあ。やだなあ。


 でもせっかくだから、このオジサンがどんなだったか体験してみるのも悪く無いかも!

 自動追体験だっていうなら特に問題も無いんじゃないかなー?


 キモいけど、何事も経験!

 そうでも思い込まないとやってられない!


 とりあえずオジサンが何者なのかを知っとかないと。

 

 所持品は……と。あった。

 運転免許証。車持ってるのかな? 私が運転してもいいのかな?


 年齢は……あのヒトと同じかあ。

 免許証の写真だと同い年には見えないなあ。


 洗面で鏡を見てみると。


 だっさ。

 このオジサン、自分磨きをしてないな?


 こんなんじゃモテませんよ!



 男女が入れ替わりとなれば、やっぱり気になるのは性に関する事!


 あのオジサン、私の身体でやらしいコトしてなきゃいいけどなあ。

 するだろうなあ。


 だったらこっちもやんないと。


 自慰行為は可能みたいだし、こんな体験そうそうあるもんじゃないからねっ。


 ナンパ……は、この見た目じゃ無理だわ。

 とりあえず美容院でも行こうかな?


 他者との接触は極力避けるように、って手紙に書いてあったけど。

 絶対ダメってワケじゃないよね。


 男になって女の子とイチャイチャするってどんな感じなのか、女なら誰だって一度は想像するハズ!


 ……私だけかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る