第6話 『あのお方』からの手紙
『 クラタトモヒサ様へ
ちょっとしたインシデントで、あなたは三日間『タカノトモミ様』と入れ替わる事になりました。
おそらく『トモ』と言う名前の繋がりと誕生日が同じ、といった偶然が重なった事で生じた手違いの可能性が高いと思われます。
現在、タカノトモミ様の魂はクラタトモヒサ様のお身体に入っております。
ご自分の意志で動く事も可能ですが、基本的には自動追体験となります。
大変恐れ入りますが、こちらの都合上、お二人の接触は三日の間、電話、SNSを含め、連絡のやり取りを絶対にしないで下さい。
時間軸のズレが生じ、最悪の場合、世界が崩壊します。
三日後には所定の手続きで、お二人ともに天に召されますのでご安心を。
追伸
三日間限定の自動追体験となりますが、他者との接触は極力避けて下さい。
特に性交渉は厳禁です。自慰行為は可能ですが、ほどほどにしましょう。 』
◇◇◇◇
入れ替わり? 天に召される? 自動追体験?
世界が崩壊とは只事ではない!
自慰行為は可能ってそれどころじゃないだろ。
まあ、興味が無いワケではないが。
なるほど、俺は理解した。
俺の身体に起こっているのは。
入れ替わり転生ってヤツだ。
三日前に戻ってるのは謎だが。
インシデントとは言うが、要するに事務処理ミスって事だろ。
誕生日が同じってのには驚いた。
「どうしたんですか、トモミさん?
あれー? その手紙、真っ白ですね。嫌がらせですかね?」
ん? 真っ白?
……そうか。
この手紙の文字は、この娘には見えないのか。
なるほど、そうか。
何か不可思議な力でこうなったのか。
なんと言うか、神様的なアレかな。
三日間のみ、俺は『ふにぷにおもち』こと、タカノトモミに入れ替わる事となった。
JK。女子高生だ。
セーラー服。
制服着たまま寝落ちしてたのか。
ブレザー全般のこの時代に黒のセーラー服。
全身が映る姿見で自分の姿を観察してみる。
……良い。
イヤ待て。
俺は変態行為を満喫するために入れ替わり転生をしたワケではないのだ。
手違いだって書いてあったしな。
三日間、JKライフを満喫。
それはそれでアリかもしれないが、それではこの娘『ふにぷにおもち』こと『タカノトモミ』に申し訳ない。
俺がどんなに腐った人間だったとしても、最低限、人としての倫理は持ち合わせている。
と思う。
たぶん。
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