第14話 JKのおっさん ミーツ おっさんのJK

 俺達はファミレスで待ち合わせる事になった。


 約束の時間の15分前。

 トモミは、俺は、まだ来ていない。


「早すぎたかな……」


 約束の時間を10分過ぎた。


 JKを待たせるなんて、なんてヤツだ。


 今はおっさんの中身がJKだから、おっさんがJKに待たされていると言った方が正解なのか。

 ……ややこしいな。


 ドリンクバーで時間を潰す。

 3杯目のミルクティーが空になる頃。


「お待たせっ。うわー、なんか久しぶりー!」


 ずいぶん明るい声音だが、間違いなく俺だ。

 なんだか懐かしい。


 って。


 おい。

 なんかチャラくなってないか?


「どうしたの? きょとーんってカンジがウケるんですけどー!」


 待てい。

 声がでかいぞ。

 

「あの、静かにして下さい」


「えっ? ああ、ゴメンゴメン。なんかテンション上がっちゃってさー♪」


 明らかに俺の喋り方ではない。

 俺はそんなにバカっぽい喋り方はしない。


「え、あの。なんか変わってませんか?」


「えー? 何がー?」


「……見た目とか」


 オマエ……本当に俺か?

 やけに小綺麗じゃないか。


 メンズエステにでも行ったのか? ってくらいに、やたらこざっぱりしてる。

 イケメンとまではいかないが、ちょい爽やか青年になってる。

 ちょっと茶髪になってるし、パッと見では20代半ばに見えるぞ。


 俺でも努力すればそのくらいにはなれた、って事か。


「カワイイ女の子に会うんだから、このくらいは当然のエチケットでしょー?」


 カワイイって、それ自分のコトだろうに。


「わはー♪ 制服姿の私ってこんな風に見えるんだねー。鏡で見るのと全然違うよー。

 ね、オジサンから見て私ってどう見えるかなっ?

 あ、オジサンって言い方はオカシイよねー。

 トモミちゃんって呼んだ方がいいかなっ?

 自分の名前呼ぶのって、なんかヘンなカンジだよー!

 で、どうどう? 私ってどんなカンジ?

 ちょっとだけカッコよく見えるでしょ?」


 ペラペラとよく回る舌だな、おい。


「……チャラいです」


「アハー! ウケるー!」


 ぺしぺしと膝を叩きながら笑う姿は、どこにでもいるJKみたいだ。

 なんだそのテンションは。

 俺の顔でそんなにチャラチャラしないでくれるかなっ。



「とりあえずう、二人が出会えた事にカンパイしよっか!」


 ドリンクバーで?

 部活の打ち上げみたいだな。


 トモミはコーラで、俺はミルクティーで。

 再会を祝して乾杯をした。

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