第7話


 精霊の血??私が精霊の血を引いているの??


『セシリーのお父様はね、精霊なのよ。それも一番偉い精霊』


 お父様が精霊?お父様のお顔を見る。すると、お父様はニッコリ笑った。


『セシリー、我の名前はシュトラール。そして我はな精霊の王様なのだ。だからセシリーは我の娘だから、精霊姫となる』


「わたし、おひめさまなの?」


『ああ、精霊はみなお前のことが好きだろう。現に今も近くにいるぞ』


 そう言われ、キョロキョロと辺りを見てみるけど、そんな存在は居ない。


「……? いないよ?」


『まだ、セシリーには見えないな。もう少し大きくなったら見えるだろう』


「はやくみたいなー」


『大丈夫、あっという間に見えるようになるさ』


 お父様はスリスリと私の頬に自分の頬を寄せてきた。


 くすぐったい感覚に自然に笑みが溢れる。


「おとうさま、くすぐったい!」


『そうか? じゃあもっとしよう』


「キャハハッ!」


 2人で少しふざけているとお母様が真剣なお顔をして私に話しかけてきた。


『セシリー、ここからは真面目なお話しよ。聞いてくれる?』


「……はい、おかあさま」


 お母様は一呼吸すると、話し始めた。


『セシリー、貴方がお父様の血、精霊の血を引いていることは誰にも言っちゃダメよ。そして、誰にも気づかれてはいけないわ』


「だれにも?」


『ええ、誰にもよ。貴方の存在は特別な存在なの。特に権力の強い人。お父様だった人や王様には絶対言ってはダメよ。約束してくれる?』


 とりあえず、お母様が言うには絶対に人には言っちゃいけないということ。


 大好きなお母様の言うことだから私は何の迷いもせずお母様と約束をする。


「おかあさま、わかった! やくそくする!」


『ありがとう、セシリー』


『セシリーはいい子だな』


 お母様とお父様はニッコリ笑ってくれた。そのことが私は嬉しい。


『セシリー、だからね、貴方の髪色と瞳は精霊だとバレないようにお父様が変えていてくれたのよ。これからも大人になるまではお父様が変えてくれるわ』


「そっか〜。でも、このほうがいいな……」


 私はお父様と同じ色の方が良かった。あんな意地悪するお父様だった人と同じは嫌だ!


『そうね、それなら今みたいに誰も居なくて、私達家族の時だけはその姿で居ましょう。だけど、人が居る時は前の姿でね』


「うーん、わかった!」


『いい子ね』


 お母様は頭を撫でてくれます。


『セシリー、大人になるまでは我慢をさせてしまうけど今まで通りにあの人達と家族のフリをするのよ。それとこれからはお母様がずっと側にいるわ』


「だいじょうぶ! おかあさまがいっしょにいてくれるならセシリーがんばれる!」


『偉いぞ、セシリー』


『本当に偉いわ〜』


 お母様とお父様はいっぱい褒めてくれます。まるで今までの分も褒めてくれているかのように……。


 話が終わると朝日が登り辺りが明るくなり始める。さて、これからいつもの朝の時間が始まる。


 昨日までは朝がくるのが辛かった。でも、今日はお母様もお父様もいる。今日はなんだか強くなれた気分だ。


 きょうは、だいじょうぶ!おかあさまもおとうさまもいるもん!


 セシリアの瞳に強い光が宿った。




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