第14話
キラキラと降ってくる光。不思議な光はもちろん、人には見えないようだ。そして、不思議な力を発揮する。
先程と同じように騒々しいが、違うところがあった。
それは不自然に火傷を負っていた使用人は暖炉の近くにいた。
それと恐ろしい物でも見ていたかの様な視線をしていた使用人達は今度は気遣う様な言葉を火傷を負った使用人にかけている。
「痛い! 痛い!」
「落ち着いて!」
「早くお医者様を呼んでもらいましょう!」
お父様が何かをして状況が変わったことだけは分かった。だけど、先程まで私のことをみんなで打とうとしてたのに、私に近づいて来たことさえ無かった様なことになってるみたい。
『セシリー、不思議か?』
(うん、どうしてさっきのことをみんなわすれてるの?)
『セシリー、これはお父様の力だからだ。お父様は不自然に精霊が力を使った時はそれを自然にすることが出来る。この力は悪戯に精霊の力が人にバレて使われない様にする為。不自然な力は精霊の力だと思われることが多いからな〜』
(へぇ〜、そうなんだ!)
お父様が私に説明してくれている間、お母様はまたしゅんっとしてしまった。
『……あなた、ごめんなさい』
『シア、謝る必要は無い。シアは精霊になったばかりでまだ、不安定だ。力が感情に引き寄せられることは仕方がないことだ。気にすることは無いよ』
『でも……』
『大丈夫。人から精霊になった者はみんな通る道だよ。それにシアが落ち込んでいるとセシリーが心配してるよ』
(おかあさま……)
お母様が私の顔を見ると側にきて頭を撫でてくれた。
『……そうね。あなた、ありがとう。セシリー、お母様はもう大丈夫よ! 心配してくれてありがとう』
そう言ってお母様はいつもの優しい笑顔を見せてくれた。
お母様がいつものお母様に戻ったことに安心していると、キャシーの騒ぐ声が聞こえた。
「そのてをはやくかくして! そんなみにくくて、こわいて、みたくない!!」
キャシーは火傷を負った使用人に対してそう言った。すると、火傷を負った使用人は痛みに耐える顔が更に傷ついた様な顔になった。
そして、周りの使用人達も気の毒そうに見ていた。
「キャ、キャシーお嬢様……」
「はやく、わたしのみえないところにいって!」
「キャシーお嬢様、それはあまりにも……」
「なに!? なにかもんくあるの? おかあさまにいうわよ!」
「っ!? 申し訳ありません!」
キャシーがお義母様に言うわよと言うと使用人達は顔を青褪めて謝罪した。
『嫌だわ〜。この子あの女にそっくりじゃない。自分より下の者には傲慢な態度。少し成長したら、権力のある、しかも男性には猫を被る様になるわよ』
お母様は心底嫌そうに言った。
そうこうしているうちに、火傷を負った使用人はもう居なかった……。
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