第17話 ニーナside (火傷を負った使用人)


 この日も、いつもの通りの朝が来た。サンダース公爵や、ケイト様、キャシー様が食堂へいらした。セシリア様は未だに来ない。


 いつまで待たせるんだとイライラしてくる。まあ、誰も準備の手伝いなんかしないから遅いのだろうけど……。


 サンダース公爵様達を見ると仲良く和やかに会話を楽しんでいる。しばらくするとセシリア様が食堂へ入って来た。


 少し驚いてしまった。だっていつもは髪もセットしていなく地味な服を着ているのに、今日はバッチリと髪をセットして可愛らしい服を着ている。誰かが手伝ったのだろうか?そんなことをしたらクビだ。少なくともこう思っているのは私だけでは無いはずだ。


 それと、今日のセシリア様は一味違った。いつもならサンダース公爵様やケイト様、大人達を怖がっていた。だけど、今日はすぐに謝ったりはせずに逆に私は悪くないとそう反論した。


 驚いた。私だけではなくサンダース公爵様もケイト様も使用人達も驚いている。だって今まで反論などされたことが無かったから……。


 ただ1人セシリア様の反論に怒りを露わにするケイト様。いつもの様にセシリア様を打とうとした時、ケイト様が派手にすてーんと転んだ。それもう見事に……。


 ただ、床が濡れていてそのせいで転んだ様だった。そのことで私達使用人は顔が青褪めた。案の定ケイト様が掃除を怠った者をクビにしてと騒いだ。


 今日は運が悪い日なのかケイト様は椅子に座っても椅子が壊れまた転んでいた。機嫌が最大限に悪くなったところでサンダース公爵様が連れ出してくれた。


 残されたセシリア様とキャシー様は2人で話していた。私達使用人は先程の床の件があるので他に不備が無いか、見渡していた。多分ここを掃除していたのは私と同じ時にこの公爵家の使用人になったボニー。ボニーとは結構仲が良いと思う。だから、ボニーがクビになるのは可哀想だから、これ以上不備が無かったように手伝うしかないと思い、周囲を見ていた。


 すると、暖炉の灰が気になった。こんなに灰が溜まっていてはダメじゃないと。2人が部屋へ戻ったら掃除を担当していたボニーに言わなくちゃ!だけど、思いのほか汚く見えるからここはそっと私で隠そう。それならキャシー様も気づかないだろう……。


 そう思い、暖炉へ近づいた。いつもは火がついた暖炉になんて近づかないのに今日に限って近づいてしまった……。


 そして、悲劇が私に起こった。バチっといった火はなんと私の右の袖に火が燃え移ってしまった。あっという間に燃えてしまった袖に成す術もなく、気づいた人が火を消してくれた。


 だけど、痛くて堪らない。痛みに耐えつつ、右手を見ると酷く火傷をしていた。そんなところへキャシー様の声が響いた。


「そのてをはやくかくして! そんなみにくくて、こわいて、みたくない!!」


 私は絶望した……。




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