君達はまだ椅子の持つ無限の可能性を知らない……

ご縁があり、この物語に出会いました。更新分まで読み終えましたので、レビューさせていただきます。

本作は新白梅小学校1年1組の児童34人が、遠足中に指導教員の主人公である彼女と共に、何故か1クラスまるっと異世界に転移してしまったところから始まります。
異世界にやってきた彼らにモンスターが襲いかかる! ならば椅子で対抗だッ!
はい。至極真面目に言っております。何故なら彼らは元の世界で、「椅子で不審者を撃退した」実績のあるクラスだからです。だから異世界で椅子を召喚してモンスターを倒しても、何の不思議もありません。いいね?

初っ端からインパクトが群れをなして襲いかかってきますが、内容は結構現実的。中でも特徴的なのが、小学一年生の子ども達というものを一つの塊ではなく、個人個人として描いている点です。倒すのが得意な子、飛んでいる虫が嫌いな子、そして戦うこと自体が嫌な子等、彼らの性格とその背景に多様性があり、一人ひとりが生きています。
そんな子ども達ならではの自由な発想は、椅子をさらなる形へと進化させます。ただ座る為だけの物と侮ることなかれ。椅子の持つ可能性は無限大。それはまさに、子どもの持つ無限の想像力の賜物でしょう。

微妙なスキルしかない主人公の教員である彼女。でも彼女には彼らの多様性を認め、色々と未熟な面を支え、そして導くという変えが効かない役割があります。それは物語の語り手に加えて、読み手と一緒になって驚いたりもする、ある意味読者の立場にも近いものがあるのかもしれません。
しかし子ども達と異世界の都合に挟まれる彼女は、悩みを抱えて頭と胃を痛めることも……誰か頭痛と胃痛に効く椅子持ってきて。

椅子が巻き起こすクラス系召喚異世界ファンタジー。他の皆様も是非読んで見てください。

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