意思と椅子は道を切り拓く(比喩ではなく)
- ★★★ Excellent!!!
クラス丸ごと異世界移転、しかもそれが小学一年生!異世界で一クラス分の児童を引率する大人はなんとたった一人…!子供ってじっとしてなくない!?という不安はあったけど、子供達が個性的でありながら良い子揃い。しかも賢く、子供らしい発想力と行動力で、ピンチをどんどん切り抜けてくれる。
そして主人公であり、読者のツッコミの代弁者とも言える先生がサバサバしていて、ものすごくリアリスト。考えても仕方ない事は軽く放棄して、単純明快にばっさばっさと苦難を乗り越えていくという。それが軽軽で、暗くなりそうな要素も明るく描かれ、読んでいてとても「楽しい!」と純粋に思えました。
椅子に無限の可能性を持たせた物語は、後にも先にもこの作品以外あり得ないのではないかという奇作でもありますが(木+奇の子だし…?)、イロモノと思うなかれ。合間に含蓄ある言葉が織り込まれたり、人間心理の闇な部分、社会的な問題にも触れていたりして、ただの娯楽作品とは言い切れない要素も濃いです。
旅をしているために生じる、出会った人々との別れ。子供達とのふれあいを微笑ましく見ていた身としては、この別れがかなり切なく悲しい。でもそのそれぞれの別れの必然性と、納得できる決着の付け方があり、読後感が最高に良いです。
一気読みもできるライトな口当たりですが、これは注意点だ…!と思わせるのが、飯テロ要素。どうにもお腹がすくという。夜に読んだらいけないやつです。
モンスターを椅子で倒すと、お弁当やおやつが出るんですよ!それの描写が細かくてですね!みんな美味しそうに食べるの!!