二人ならなんとかなると、信じて疑わなかった。
そんな護国士のレンドールのもとに届いたのは、白の巫女の真詞。
『《雲晴れぬ山の向こう、虹のかかる谷の先
黒き瞳の魔物あり
其は己を知らぬ
知らぬまま力を蓄え、そして、全てを滅ぼす》
道を違えたければ、それを探し出し、力付けぬ間に闇へ返せ』
レンドールは護国士として初仕事をなそうとする。
しかしそれを阻むのは、相棒であるはずのエラリオだった。
『魔物』と呼ばれた少女を守るエラリオと、そんな彼に剣を向けるレンドール。
レンドールは護国士としてエラリオの行方を探すため、アロという人物と行動を共にする。
互いに互いのことがわかるからこそ、お互いの性格を見抜いた対決が始まった……。
この国は魔物から守られている、安全な幸福な国。それゆえに、『外者』が魔物から逃げるためにやってくると言われている。だが『外者』は、ここへ来る前のことを覚えていなかった。
『外』にはなにがあるのか。エラリオの真意はなんなのか。本当に預言どおり、かの少女は全てを滅ぼすのか。たどり着いた先で、レンドールは何を選択するのか。
しょっぱなからから激動の、親友との断絶シーン。
命令を受け、ついに発見したターゲットの”魔物”を倒すべく剣を振るった主人公レンドール。しかし、その攻撃を防いだのは相棒で親友のエラリオだった。
黒い瞳の少女……彼女は間違いなく宣託の魔物のはず。しかし親友は彼女をかばい、そして姿を消してしまう。彼の突然の行動の意味と理由とは。
その謎と真意を問うために、行方をくらました親友を追う事になる主人公。彼の旅路の過程で徐々に真実に近づいていくストーリー展開は、先がとにかく気になって仕方がない。
魔物を連れて逃げた人間の元相棒という事で、レンドールには監視がつけられるのだけど、一癖も二癖もありそうな監視人もかなり魅力的で、二人のコンビ的やりとりも楽しい。追う側レンドールと逃げる側エラリオとの頭脳戦も見どころ。
世界の謎に触れながら、魅力あふれるキャラクターが人間ドラマを織りなしながら展開される骨太ファンタジーで、腰を据えて読みたくなる一作です。