「一遍上人」と、その妻「超一房」の物語です。捨聖と尊称されるストイックな僧のイメージと、大勢が楽しげに体を揺らす踊念仏のイメージ。これまで、私の中ではこの2つが結び付かず、何とも捉えづらいお坊さんだなぁ。と思っていました。そこを、この物語は繋いでくれたように思います。人々の救済する為の信仰と、愛という名の煩悩に揺れる、2人の様子が深くて、読み応え充分です。波乱に満ちた一遍上人の生涯を、美しい文体で楽しみつつ、今日を生きるはっとした言葉が詰まった素敵なお話です。
歴史小説というよりは、鎌倉時代に生きた、知られざる女性の愛の物語と言えようか。
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