第15話 職業病その2
前置きとして、作業台の高さと言うのは思った以上に重要です、ピアノなんかはへその高さに合わせて個人毎に椅子の高さが調整されます。
で、対してこの職場の作業台、いわゆる検査台ですが作った人物の背が低いのか、設計段階では椅子に座って作業する前提だったのか、兎に角低いです。
尚、最初は座って作業する予定だった物を、座ったままでは真面目に作業して居る様に見えないと言う事で、職場の作業場に椅子が無くなったと言うのは笑い話に分類されるのでしょうか?
失礼、脱線しました、具体的な低さは、私の股下ライン、腿の中頃の高さに天板が有ります、因みに私の身長は世代的には平均的、但し平均身長が一番高い世代と言うヤツです、全体から見ると意外と高い扱い。
結果的に、目線高さを合わせる為に全身で首や足、腰を屈めて対処します、無理な、不自然な体勢で仕事中は過ごします。
結構な重さの物を扱うので、力の配分は大事です。
小さい物なら手先だけで動かせますが、大きいサイズは結構な重さが有るので、全身の筋肉と体重、足を使った重心移動何かも重要なので、常に足踏み状態だったりして、万歩計を装着していれば、毎日1万歩を叩き出します。
当然出て来る症状は、腰痛、肩凝り、疲れ目等など。歩きや足踏みは運動強度としてはあって無しが如しの物ですから、ストレッチが欲しいですね、まあ、仕事の合間にそんな事をする余裕は一人減った時点で無くなっております、会社側としては付随ロスと呼ばれる、数字に反映され無い無駄作業の一種として見ていますので、集中力が足り無いと見ている節すら有ります。ストレッチなんかしてると指さして笑われ、ピエロじみた大げさな動きで真似されます、職場の雰囲気最悪ですね。
そんな訳で、バッキバキです、超肩こりや、超寝違えと呼ばれる症状は職場全体の職業病です。其処から下手に伸ばすとピキッと成ってエライことになる。
手首の返し何かもキツイので、腱鞘炎も何人か、ついでに疲労骨折も居ましたが、結局休まずに仕事していたので、良いから安めという風土はありませんでしたね。
流石に両手骨折は仕事出来無いと言う事で1ヶ月休みでしたが。コレは自分で行ったレジャーで転んでなので、職業病とは別です、因みに、この時点では皆の前で土下座じみた勢いで謝罪させられると言うことは有りませんでした。
其れと、何気にぎっくり腰は時々出ますが、この工場では労災認定した試しは無いようです。労災の場合は報告書が全職場広報で横展開されますから、でも、系列店や別工場からぎっくり腰の労災報告書が流れて来るので、中々不思議な状態です。
因みに怪我をしても、会社の診療所を使わず、保険証で治療、その後は出社だけでもさせて、現場では無く書類仕事をさせる事により、休業災害では無く不休災害として扱うことが出来ます。
何故そんな事をするのかというと、休業災害では本社に報告義務が発生することと、ソレによって連続無災害記録が途切れてしまうため、あいつが途切れさせた、あの職場が災害を出したと陰口をたたかれます、ソレを予防するため、不休災害、ヒヤリハット、赤チン災害にするためにソレが当然と共同幻想ですり込まれているため、最早どうしようもありません。
万一休業災害だったとしても、負傷で公休なんて事は無く、元から有給休暇を使って休んでいるだけですと言い訳が効きます、効くのか? と言われそうですが、効いてる扱いなので最早何も言えません。
同じく、熱中症も時々倒れているのがいると聞きましたが、やはり横展開報告書は無し。
仕事中に脳梗塞で運ばれても、やっぱり労災には成らなかった様です、不思議ですね?
横展開も有りませんでした、不思議。
同じく自然気胸で変な所膨らませて病院に運ばれ、後一時間遅れたら死んでたぞと言うのもやはり労災では無いようです。
どうすれば労災何でしょうね?
因みに、因果関係を証明出来なければ労災になりません、残業時間が月45時間を超えて居れば、然るべき所に訴えた時に脳梗塞が労災に成る程度で、夜勤で脳梗塞では弱いそうです。そもそも退職前提じゃないと波風立てられないと言う事です。
ついでに、仕事後で時々職場対抗の運動イベントが有りまして、一人過呼吸で転倒して救急車呼んでたりもしましたが、何が不思議って、診療所が有って医者常駐してるのに、それ呼ぶよりも救急車呼ぶんですよね? 不思議不思議。
そんな訳で皆の健康というか、私の健康は低空飛行でした。
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