第2話 就活しくじり記録

 前置きとしては、その前も黒かったので麻痺してます、と言うか当時はネットの情報が発達して居ないので、ブラック企業の概念が薄いです。 

 最初の就職先で先輩方と馴染めない人材は要らないと言われ、社長の一言で首を斬られた、大雪の日に休みだと社長から連絡が来た日、先輩方に「こんな連絡が来ましたけど、実際に休みで良いんですか?」等と言う確認が無かったのが問題だったらしい、いや、社会人一年目で其処まで気にしろと言うのも酷じゃないか?

 等と言う泣き言も有るが、それ以前の問題として。

「あれ? 貴方の会社は雇用保険入れて無いので失業保険有りませんよ?」

 と言う、ハローワークで根本的な問題を指摘された。尚、失業証明すらあの会社は出さなかったし、言っても書いてさえくれなかった、序にその頃のハローワークは訓練等の案内も一切して居なかった、時期的にはネカフェ難民が始まる不景気時代、其れでもそれなりに地元就職で仕事は見つけて働いていた、まあ、地元就職は安いのだが、時給計算で其れなりに長時間だったのである意味問題は無かった。

 そんなある日、近所の小父さんから仕事を紹介された。

「3交代だけど結構稼げるぞ? 一部上場で怪しい所じゃない、ちゃんとした所だ」

 其れは確かに地元にある会社としては大規模な一部上場企業の地方工場だった。

 工場所属の従業員だけで2000人クラスのマンモス企業である。

 スーツを着て履歴書を持って面接と言うか説明会に来た日に、そのまま筆記試験と面接をして、スーツも何も脱いでシャツとパンツで健康診断と体力測定をする羽目に成った。

 同期入社の面接は30人ほど居たが、ほぼ全員採用されたのだと言う事を後で聞いた。

 前の仕事との兼ね合いが有ったので、入社を少し後にずらした関係でその時の同期集団とは顔を合わせていないので噂話だったのだが・・・

 就業形態を説明される際、時給が当時の県内最低自給の倍有ったので、同期面接の面々が沸いた事を覚えている。

 勤務時間は1直がいわゆる朝8:00〜15:45まで、2直が昼夜15:45〜23:30、3直が夜勤で23:30〜翌日8:00まで。仕事10分前には申し送りの朝礼が有り、その前には機械点検が有るのでその分早目に、5日間ずつで休日を挟んで切り替える感じだ。

 具体的に並べると。

 33333休休22222休休11111休 以下頭に戻って無限ループ

 と言う感じで、3週間が20日で回る為、他の人とは休日がズレて行く、一般の方々の土日祝日と言う概念が此処では存在しない。上司や事務の方々が否43と言う、一般的な日勤で動いている為、土日祝日は若干人が少ないと言うだけだった。因みに否43「ひよんさん」と読む、4班の3交代では無いと言う意味だ。

 誰かは常に休んで居るので、何かあって人手が欲しい時には休日出勤で引っ張り出せると言うのがこのシステム。

 人員が捕まらなかったり足りなかった場合、残業3時間と早出3時間で一人分の人足を確保する、基本的に遊びの人員が足り無いのだ。

 巨大な金型を使った製造業の為、蒸気ボイラーの熱を落とすと再起動の手間と時間のコストがかなり高くなるので、機械の都合に人間が合わあせるのだ。

 残業は基本的に一回2時間が基準、長くても3時間と言うのがルールだった、休日出勤は時々、大体月一回ぐらいかな? と言うのが初期段階での説明だった。因みに、入り口にカード照合のシステムが有り、誰が何時に通ったのかは記録されているが、職場のパソコンでタイムカード入力するシステムだ、それぞれ残業休日出勤は入力した分はちゃんと払われるので、そう言う意味ではホワイトだった。

 因みに、高卒新卒採用なら問答無用で正社員だが、中途に成ると大卒でも専門卒でも全員契約社員で、正社員の登用試験がほぼ無いと言うのは後から聞いた話だ・・・

 別に可笑しな話では無いと言うか、この類の工場系の雇用形態は主に契約社員、半年更新で時給と月給は高いがボーナス的なモノが少ないと言うのが慣例と成って居る様子だ。

 1週間ほど座学で研修、其の後現場配属と言う、大分余裕の有る教育体制に少し驚きつつ、研修をこなすと、現場に配属された、現場でも1~2か月ほどは研修期間で、意外と余裕を持って研修が出来た事は覚えている。

 その現場研修期間の初期で、先ずは誰でも出来る仕事と言う事で。一日7時間、一回100キロ位の積荷を載せて台車を押して運ぶ仕事を振られた結果、筋肉痛を拗らせて足の筋を違え、アキレス腱炎に成り、それ以降持病として延々と付き合う羽目に成るのは当時はあずかり知らない話だった。

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