ブラック企業に成った訳 僕が仕事を辞めるまで・・・

第11話 社員食堂で死にかける(アレルギー的な意味で)

　今回は単なる自分語りに近い、アレルギーネタとなります。

　工場従業員は仕事時間の昼休憩に当たる時間、社員食堂で温かい御飯を食べられます。

　外部委託業者さんが入っていて、会社側で補助金も有るので、1食200円の給天引き、基本的に全員食べる前提で天引き確定、その直仕事に出て入る人数分は用意されます。

　メニュー内容としてはご飯、おかゆ、味噌汁、千切りキャベツかダイコン、カレー、漬物と各種調味料はセルフサービスで盛り放題かけ放題。オカズは2〜3種の内どれか一つ選べる、麺定食も別にあるし、もう一杯欲しい時は別会計100円でラーメンか蕎麦かうどんが出て来ます。

　こうして見ると結構豪華です。

　実際、そんなに不味く有りません、時々変な物は出て来ますが、普通に食べられる方なら問題無いと思います。

　値段的な問題なのか、牛肉系が全て独特の臭いを発する乳廃牛（牛乳を搾り終えた雌牛）なのは笑い話程度の問題ですから、気にしなければ問題無しです。食中毒起こす訳では有りませんから。

　正直、牛よりは豚か鳥の方が安くて美味しいんじゃ無いだろうかと思いますが、この工場、喫煙率9割位ですから、言われても匂いは分らない人のほうが多いので、色々な意味で大丈夫です。

　まあ、時代的な物も有りまして、アレルギー対策的な物は遅れ気味、私は持病持ちと言う事でアレルギーの内容は公開していますが、上司や同僚から「どうなるか見たいから食べてみて」「コレ入ってる食べるな!」（問題無い食材）と言う感じの嫌がらせ的な物は、当人だけ楽しそうにヘラヘラやられます。

　まあ、立派な苛めと言うかパワハラの一種ですが、私の機嫌が悪くなるだけで一々騒ぐ程ではありません。気が向いたらパワハラ告発にもできますが

　割と困るのは、見たこと無い食材料理の類いです、学校給食の様にお品書きと原材料表示されて要る訳でも無いのと、外食の時の様にアレルギー反応が出る食品を伝えて店員に全解説を求める何て時間的、状況的な余裕はありませんから、何百人裁かなきゃならんラッシュ状態の従業員さんに負担をかける訳には行きませんから。

　幸い、私のアレルギーは外見で見れば大体分かる類の、エビカニイカタコカイその他軟体動物無脊椎動物に対する最大抗体値で強度6のアレルギーです、摂取時点で全身蕁麻疹や呼吸困難、消化器系障害が発生しますが、こうしてステロイド剤の日常的摂取無しに生きていますから、気を付けて居れば大体大丈夫。

　大丈夫な食材とメニューを見極めて安全確保して行けば、そんなに死ぬような事は有りません。

　と、言いたい所ですが、絶対は有りませんし、時々困るし不意打ちでやらかします。

　そんな訳で何度かあった失敗パターンです。

　尚、勿体ないの精神を持っているので、食事は出来れば残したく有りません、駄目な物は駄目だけど、エビフライ定食で付け合せのミニハンバーグだけ食べて残りを残すと言うのはかなり嫌な質ですので、それ前提でお読み下さい。

　A海老フライ、B牡蠣フライ、ｃ海老あんかけラーメンと、じゃあカレーなら大丈夫かな?

　みじん切り状態で言われなきゃ視認出来無いイカカレーで無事死亡、ステロイド剤飲んでおきましょう。

　メニューと言うかカレー鍋にシーフードカレーとかの表示が有れば問題無いわけですが、ありませんから、諦めましょう。上司に相談しても無駄ですから。

　なお、仕事の余裕はほぼ無いので、ステロイド剤副作用の反応速度1%低下とかで溢れます。別の意味で死亡。

　新人研修でラッシュより早い時間、オープン前に食堂入りする。

　他のメニュー準備出来てないから全員焼売餃子定食ね?　「えっと、具材なんでした?」近くで同じメニューを食べている同僚に中身を聞く。「大丈夫、美味しい」「いや、中身の具」「肉じゃない?」「そんなもの気にしたことも無い」「割って見せてくれるだけでもいいんですけど?」箸に付いた時点で別の箸持ってくる手間がかかるのだ。「やだめんどい」「好き嫌いするな」「アレルギーなんですけど」「…」諦めて自分で割って目視で材料確認して全て残飯としてポイ、結果、やっぱり海老餃子と海老焼売でした。割って見せてもらえれば箸付けて無いから食いますか?って感じに残さず処理出来た可能性があったのだけど、残念。

　因みに、別の時には割っても目視確認でも判らず、一口入れて吐き出して必死に口を濯ぐ羽目になったりもした。

　そもそも一般人と言うのは、普通は料理のレシピ分析も材料の観察も一切しないと言うのは此処まで生きて来て初めて知りました。

　美味い不味いしか無いそうです。

　外食の際には必ず友人を毒見役として連れて行き、店員が当てにならず初見で困る物は一口食べてもらって材料判定して貰うのが私の生存戦略だったので、社員食堂では地味に苦労しました。

　因みに、この時期、メニューサンプルは有ってもメニュー名などの具体的な表示がほぼ無いので回避行動がかなりやりにくかったです。

　何も食えない特別食。

　年に数回、記念日やら何やらで、何時もよりちょっと豪華なお食事が振る舞われます。

　エビフライと牛ステーキのセットか、トンカツとうなぎのセット、味噌汁はハマグリのおすいもの、何時ものサラダがエビサラダ、単品麺は海老天うどん、ご飯はエビが乗ったちらし寿司。

　はい、とてもリアクションに困ります、食堂の業者さんもおえらいさんが来てニコニコと勧めてくれます。

　因みに、エビ・カニのアレルゲンは熱に極めて安定しているので、揚げ油何かに溶け出して、揚げ物全てを汚染してくれる為、一週間ほど油を使い回すこの食堂では揚げ物自体が食べられません。エキスでもアウトなので、出来上がった料理から抜いても無理です。ついでにコンビニの揚げ物系は軒並みアウトです。

　では、頑張って回避しましょう。

「単品麺で、海老天うどん、海老天抜きでお願いします」

　流石に奇行過ぎて根掘り葉掘り聞かれました。

　それ以降、アレルゲン表示されるようになりました。

　ここで初めて食堂側から認識されたようです、相談したときに上司は一切行動していないのだと言うことが今更判明しました、流石です。

　そんな訳で、其れなりに頑張って回避していたのですが、変な不意打ちは有るので、気がついたら全身蕁麻疹、小さいボコボコが合体して手のひらサイズのボコボコが全身に、流石に不味いと早退して医者に行ったところ、「よく生きてたな？」そんな感じに苦笑を浮かべられて、ステロイド注射を打って一段落しました。

　因みに、原因と思われる物は恐らくですが、昼に食べた冷やし中華の付け合わせが魚肉ハムだったとか、隠し味にオイスターソースが入っていたとかそんなのです、流石に形が無ければわかりませんので。

　補足説明をすると、魚肉ソーセージとハムは、小魚をモツ抜き無しですり潰す為、魚の消化器系に残っている物、餌として直前で食べたオキアミなんかがアレルギー持ちには直撃します。それ以外にも魚介エキスが何だか分からないのでピリピリします。

　実はアレルギーの状態が悪いと、普通のハムやソーセージ、ベーコン何かに使われる着色料、ラック色素やコチニール色素でも多少痒く成ります。どちらもアブラムシと言うか、カイガラムシの一種ですから。どっちも等しく節足動物。

　アレルギー持ちにとっては、節足動物と言うくくりでなら虫でもカニでもゴキブリでも変わりません、総て等しくアレルゲン。

　ついでに別枠で、蜂蜜アレルギーというのも発症しました。

　蜂が蜂蜜を作る時に混ざる、蜂の唾液に対するアレルギーだそうです、蜂蜜やローヤルゼリー、蜜蝋の入った物が食べられなく成りました。

　はちみつレモンや、スポーツドリンク、思ったよりも禁止銘柄が広いです。

　何気に面倒くさいのが蜜蝋禁止、リップクリームが軒並み使用禁止と言う事で、特定銘柄か白色ワセリンしか使えなくなりました。

　そんな訳で、もはや当人すら何だか分からない地雷ですから、人に文句を言うのは筋違い。

　更に言うと、医者に見せても主要５０品目にすら無く、検査項目にも無いので、診断受けても一切参考に成ら無いと言う事で、自分自身で自衛するだけです。

　回避力はそれなりに有るのと、速攻発症の劇症型では無いので、運用コストがお高いエピペンでは無く、お安いステロイドの錠剤で一次しのぎ出来れば死にはしないと言うことで、今のところ無事に生きています。

　泣き言を言わせてもらうと、アレルギーをネタとして彼女さんにフラれました、少しでも食事に気を遣うのはいやだそうです、世知辛いですね。