12日 【掌編】暁ノ伝承龍 -絶剣、羅刹院封魔-
曇天を突く摩天楼に、雷鳴が響く。
片や、長身痩躯。女の如きつややかな長髪を吹き荒ぶ
片や、筋骨隆々。丸坊主に剃った頭には怒りの青筋を浮かべ、自らの背丈ほどもあろうかという巨大な斧を二振り、両手に握っている。
尋常ならざりしは、両者の発する殺気である。眼光のみにて象をも殺すとさえ云われる最凶の戦士達。常に相争う立場であったこの二人は、今、決戦の狼煙を上げようとしていた。
筋骨隆々の大男の方が、噛みつくようにがなる。
「
「……
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「その膂力、仙術、すべてを以てしても」
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「私には勝てない。何故なら」
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「おまえには護るべきものが」
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「ないからだ」
「貴様にはあるというのか?」
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羅刹院封魔は長刀を抜き、言い放った。
「もちろ」
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「んだ。私は誓った。あの無垢なる少女との約束を果たすと……」
「フン……! しかしその誓いは水泡と帰す。何故なら、ここで貴様は死ぬ! 我らが神に背いた罰を受けるが良い!」
「やってみろ。愛という真なる神を知らぬ、駄犬風情が」
火蓋が切って落とされた――――
【次回予告】
VS鬼巌堂惨臥、決着! そして封魔の前に現れる魔神の使徒! 倒すべき魔神の手掛かりを得るため、封魔は刀を振るい、使徒に一撃を与える。しかし! 「おにい……ちゃん……?」「まさか……
次回、暁ノ伝承龍 第三七五六四話「愛の行方」
そして……龍が咆える。
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