星に願いを

流星に祈れば、願いが叶う。そんな言い伝えのある街で、人が消えた。
それは誰かが願ったから? そうらしいと言うものの噂に過ぎず、真相の分からぬまま一年が過ぎた。
主人公 希海は、想いを抱えて祈りの丘へ。それは不確かな願いのためでなく、好意を抱く真生を確かな存在にするため。
しかし幼馴染の漣は、お前たちは合わないと否定する。

星に願いを託すという夢のあるお話だけれど、希海たちを取り巻くのは重苦しい空気です。
でも希海や街の人々は、前を向いて生きている。起こったことは変えられないけれど、これから良い方向へ進むことは出来る。みんな心のどこかでそう信じているのでしょう。

ただそうやって強くあるには、支えが必要です。得られれば良いけれど、その当てさえもなかったら……。
一年前、なにが起きたのか。二つの願いがそれを明らかにします。
もうこんな悲劇は二度と起こらない、そう感じさせてくれる希望に溢れたラストでした。

そして読み終えた後、しばらく。
ああ、だから『パンドラの箱に星を集める』のか。と、深く深く納得しました。

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