怪しきと呼ばるまで、降り積もった想いに寄り添いましょう。

名古屋駅から名鉄あるいはJRで二駅。もしくは地下鉄東山線に乗り、栄で名城線左回りに乗り換えてから四駅。
金山総合駅の程近く、とある雑居ビルの二階に、小さな事務所がある。

——失礼して本文から引用させていただきました。と、この手を前作のレビューでも使ったのですが。
と言います通り、シリーズ作品の二作目。現実感たっぷりの描写が冴え渡る、探偵事務所に纏わる物語です。

探偵と言っても殺人事件などとは縁がなく、どうにも不可思議な事件ばかりが持ち込まれます。
普通の“人間“の仕業でないことばかりが。

今作では、あるお店で取り扱う品物に焦点が当たります。
市松人形、壺、万華鏡……などなど。いかにもなにかありそうな物ではありますが、関わる人間が違えば、なすべき対処も違うもの。
起こった出来事、現象を、えいやっと薙ぎ払えば終わりなんて乱暴は通用致しません。
そこへ積もった人の想いに寄り添い、解決の道を探します。

前作を読んでいなくとも、まったく独立した物語となっています。また、前作を読んでいれば、登場人物たちの歩みを目の当たりにして楽しめます。
どうか名古屋で怪異にお困りの方、あるいはそんな顛末をお知りになりたい方。まずは樹神探偵事務所の、そして懐古堂を訪ねてはみませんか?

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