寂しがり屋の神様による一つのセカイ系の形。

『流星群の夜に、誰かが祈りの丘で願ってしまったんだ。世界なんて滅んでしまえ。皆いなくなってしまえ、って』

そう誰かが願ってしまった為に、主人公たちのいる町から、大半の住民が消えてしまったのが、今作の「パンドラの箱に星を集める」です。

希海、漣、真生は「世界は、滅びなかった。神様に消されなかった僕ら」として再び流星群の日を迎えます。

希海は「初めての恋に落ちた」相手、真生を祈りの丘で流星群を一緒に見る様、誘います。
そんな希海を心配して、幼馴染の漣が「希海と真生って合わねえだろ。全然」と言って、一緒に流星群を見ることを止めようとします。

最後まで読むと、漣がなぜそこまでお節介を焼くのかが分かる上、ちょっとホットココアが飲みたくなります。
あと、結末を知ると、これは一つのセカイ系だったんだ、と納得できます。

何にしても、非常に綺麗な話で、まとまってもいるので、とても読みやすい物語でした。

個人的に途中から、ずっとこの短編をアニメーションとして描くとしたら、誰の世界がぴったりだろ? と考え続けていました(普通に短編アニメであって良いクオリティだと思います)。

流星群を迫力ある感じで描くなら、新海誠かなぁ。
けど、キャラクターの描写とかは細田守の「時をかける少女」っぽいなぁ。
もうちょっとカジュアルな感じでいくなら、岡田麿里もありだなぁ。

そんな想像も楽しい短編でした。
どなたか、こういうビジュアルが合うのでは?と言うのがあったら、ぜひ教えてください。
個人的には岡田麿里に一票です。

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