第23話 一方その頃
いつも通り執務室で仕事をしていると荒々しくノックがあり、慌てた様子アレンが入ってきた
「報告です!ティシャ様が消えました。」
ーー?!!!
一緒にいた宰相の息子クリスも息をのんだ
「どういう事だ!なぜそうなった!」
頭が真っ白になった
いつものようにティシャが訓練所にお菓子を持って遊びに来たこと、あの女がきて騎士2名が倒れ侵入を許したこと、あの女が発した事、そして突如現れた光で皆が目を開けられなかった間にティシャが消えたのだという
あれだけの人数の騎士が訓練所にいるのになぜ誰もティシャが何処に行ったのかわからないのだ!!
「今動ける騎士全員で捜索に回っております。
大変申し訳ありませんでした」
そう言ったアレンの顔もかなり憔悴しきっており今皆が混乱の中にいるのは間違いなかった
そして皆がティシャを女神だと慕う騎士団がティシャを攫うとは考えられなかった
いったいどうしたらいいんだ。ティシャどこにいる…!
「スノウ様も一緒にいたのだとしたら、そちらに声をかければもしかしたら何か返答はいただけないでしょうかね」
確かにクリスの言う通りだ
もしスノウが一緒であれば場所がわかるかもしれない
でもなぜスノウほど強い者がいて攫われたのだ…?
急いで引き出しにある石に声をかけた
頼む繋がってくれ
「スノウ!聞こえるか!!ティシャが攫われた!!聞こえたら返事をしてくれ!!」
返答がくるまで少しの時間も惜しかった
そして自分の不甲斐なさと悔しさから爪が食い込むほど強く自分の手を握りしめていた
「レオ。聞こえてるよ。ティシャなら無事だから安心して」
よかった…
ティシャが無事で本当によかった
「今どこだ!!すぐに迎えに行く!」
「んー。それは無理だな。今精霊界にいるんだ。
あの女が言った事でティシャは傷ついたんだ。
逃げたいって、だからティシャが戻りたいと思うまでは帰る気も返す気もないよ」
そんな…
精霊界なんて御伽話の中でしか聞いた事がない。
なんでそんなところにいるんだ…
もう会えないのか?ティシャに会いたい
そしてそれから石にいくら話しかけてもなんの返答も来なかった
少なくともティシャが無事ならいい。ティシャも少しは俺のことを好きになってくれているような気がしていたからすぐに帰ってきてくれるんじゃないかと俺は自惚れていた
ここからが地獄の始まりなのに…
売られた少女、実は聖女様?! @mizinkosan
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