第5話 犬との出会い
うーん。何がいいのかな
刺繍は好きだけど、布と糸を今の私が手に入れるのは難しい
前世の記憶で使える物がないか考えてもなにも思いつかなかった、そもそも前世の私は友達もおらず何かを贈る事がなかった
うーん。と唸るように考えながら庭園を歩き回っていると茂みの奥に薄汚れた大きな犬が横たわっていた
犬は気配を感じたのか威嚇している
あれ?右足のところ毛の所が赤黒く血が固まっていた。怪我してるのかな?
出来れば治してあげたいが、威嚇していて近づけないと思い観察していたら犬と目があった
犬はなぜか大人しくなり「くううん」と元気のない声になっていった
今なら近づけるかな?どうしようと悩んだがとりあえずゆっくりと隣に座った
犬はそれを見てか、私の膝に頭を乗せてすりすりしてきた
なに?!すごい可愛い!!!!可愛さに悶えながら頭を優しく撫でてあげた
『貴方も独りぼっちなの?私ももうすぐまた独りぼっちになっちゃうんだ
ねね、貴方足怪我してるの?痛くない?
痛いの痛いのとんでけー。なんちゃって…』
と苦笑いしているとなぜかさっきまですりすりしてくれてた頭がなくなっていた
あれ?なんで?!
すごい元気になってるの?!
なぜか地上から10メートルくらいの位置で犬が走り回っていた
びっくりしていると今度は声がした
『ありがとう。君のおかげで久しぶりに走る事ができて、身体がすごい軽いんだ!
なにか欲しいものはない?お礼がしたいんだ!何でも叶えてあげるよ!』
え?犬が喋ってる…?
『お礼なんていらないよ。なんで元気になったかわからないけど、怪我が治ったならよかったわ』
それでもお礼をと引かない犬に困ったが、結局使用人の方やレオラドール様、デオンにお礼をしたいが何をしたらいいかわからないと話した
『んー。ならさ君、歌を歌う事が好きだよね?
歌を歌ってあげるってのはどう?』
なんで知ってるの?!とは思ったが、歌か…
それならお金がない私でもしてあげられる事があるかも!
そう思いつくとすぐレオラドール様とデオンにお願いをした
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