今こそ読みたい!

 SFを「少し不思議」というセンスが、分かる人には分かる優しさ、ワクワク感を漂わせるこの物語、その印象通りの柔らかさがあります。

 嘗て青春モノにSFの名作が多々あった時代の不思議さを感じられます。主人公も、主人公の彼女も、どこか影のようなものを感じるけれど、それが不穏なモノではなく好奇心を掻き立てられるものであるのも、身を乗り出してしまいそうになります。

 皆が通ってきた道を描いていると思います。通っていないとしても、通ってきたと思ってしまう文章が、ここにはあるからです。

 数学のこと、物理のこと、天文のこと…それらを自分が通っていなくても、この一生懸命さにハマる事、請け合いです。

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