月夜の理科部

作者 嶌田あき

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★★★ Excellent!!!

 天文学者を父に持つ女子高校生が主人公の、月を巡るSF(少し不思議)系小説。主人公は理科部に間借りする天文部に入部した。この天文部には、昼部と夜部があった。主人公は星や月が良く見える夜部で活動していた。そこには、主人公が恋する先輩も在籍していた。優柔不断が代名詞ともいえる主人公は、悩みながらも打開策を講じていく。
 そんな主人公の高校に、主人公の父の弟子である新米女性研究者が現れ、主人公とその同級生に、研究の手伝いを依頼する。「輝夜姫伝説」にちなんだ課題を出され、主人公はその課題に取り組み、良好な成績を収める。しかし、この女性研究者は大事なことを最後に言う癖があった。その大事なこととは、女性研究者の脳内データが、誤って月に転送されてしまったということだった。
 何とか女性研究者の脳データを取り戻そうと、天文部は奔走する。しかもデータにはタイムリミットがあった。そこで、データそのものを地球に戻すのではなく、レシピデータを地球に持ってくることに。そうすれば、レシピに従ってデータを再構築できる。計算。機材。そして思わぬ人々の協力。果たして結果は?
 さらに、主人公の心を惑わすことがもう一つ。好きだった先輩よりも、課題を一緒に解いてくれていた彼を身近に感じ始めたのだ。優柔不断な主人公の心は揺れる。そんな中、彼がアメリカの大学に留学することが突如として決まり、主人公は決断を迫られる。主人公が選ぶのは、先輩か? 彼か?
 人生において選択は迫られるもの。
 でも、それが一択なら、人は突っ走ることができるのではないか――。

 拝読するだけでも天文学に詳しくなれる一作でした。
 また、キャラクター達が生き生きしていて、皆が一致団結して月にあるデータを取り戻そうとする場面は、読者が一緒になって手に汗握る場面だったと思います。

 是非、御一読下さい。

★★★ Excellent!!!

部員やレネとの出会い、そして、恋愛をとおしてキョウカが成長していく様が綺麗に描かれていました。

キョウカの心理描写が秀逸で、優柔不断な人はこういうことを考えて悩んでいるんだとクスっとしました。
でも、そんなキョウカにも意外な才能が。

高校生の恋愛ということもあり、ピュアでロマンチックですね。そして、素直になれずに、自分の気持ちにあべこべな二人。
大切な人は、憧れの人? 近くの人?

地球から眺める月面という舞台は、科学的な知見が深くないと表現は難しそうなのに、それをこなしていく作者に驚きました。

部員もそれぞれ個性や役割があって生きているキャラを見させていただきました。そして、男心、女心が丁寧に描かれています。
男の気持ち、女の気持ちの表現に迷ったときはこの一冊なのかもしれません。

最後に、キョウカが自分の生き方として決めた結論とは?

とても面白かったです。

★★ Very Good!!

中盤から終盤にかけて世界観にしっかりと入り込めました。少年少女たちの天文活動を通しての青春を体験できました。
SFと恋愛がミックスしているのもよかったですね。
またあなた様の科学の知識も卓越していることでしょう。
序盤の方がもう少しインパクトがあればさらに固定読者が増えるかなぁと思いました。ですがはっきし言って序盤で読むのをやめた人、後悔しますよ。

★★★ Excellent!!!

 SFを「少し不思議」というセンスが、分かる人には分かる優しさ、ワクワク感を漂わせるこの物語、その印象通りの柔らかさがあります。

 嘗て青春モノにSFの名作が多々あった時代の不思議さを感じられます。主人公も、主人公の彼女も、どこか影のようなものを感じるけれど、それが不穏なモノではなく好奇心を掻き立てられるものであるのも、身を乗り出してしまいそうになります。

 皆が通ってきた道を描いていると思います。通っていないとしても、通ってきたと思ってしまう文章が、ここにはあるからです。

 数学のこと、物理のこと、天文のこと…それらを自分が通っていなくても、この一生懸命さにハマる事、請け合いです。

★★★ Excellent!!!

フォローいただいたご縁でこの物語に出会いました。更新分まで読み終えましたので、レビューさせていただきます。

優柔不断な主人公の彼女が、打算的な関係でとある男の子と一緒になるところから始まる物語。出される課題、交差する思い。それぞれのキャラクター達の関わりが物語を紡いでいき、伏線を回収しつつ、ラストでそれらが一気にまとまっていくというこの構成は、お見事としか言いようがありません。
作者様の知識量の凄さによって作られたSFチックな世界観も、この物語の醍醐味の一つと言えます。話が終盤に向かっていると思われる今、もうこの先の展開が楽しみで仕方ありません。

恋愛SF青春物語。読まなければ損というものです。
他の皆さまも、是非読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

好きな先輩に近付くために夜間理科部に勧誘されたキョウカ。部の存続と望遠鏡のために、理系男子のユキと一緒に月面ローターの育成というアルバイトをすることに…。

ユキにも気になる人がいて、お互いその手助けをする関係だったのだが…!?

近未来の学校を舞台にしたSF青春ストーリー!作者さんの独特の表現方法が面白いので、是非読んでみてください!

★★★ Excellent!!!

特筆すべき点は、作者の科学の知識量でしょう。
物理、数学、宇宙…バリバリ文系の私にとってはちんぷんかんぷんな内容も、わかりやすく丁寧に書かれている為に抵抗なくスラスラと読めます。

また、打算から始まる恋に悩む主人公や、月面基地に残された脳波データの回収など、肝心のストーリーラインも飽きの来ない展開で面白い!

高校生の悩みや迷いが丁寧に描写されており、多彩な比喩表現を用いた文体も相まって、学校推薦図書を読んでいるような気持ちになれます。

今を生きる若者と、青春を忘れてしまった大人、どちらにも読んでもらいたい素敵な作品です!