第14話「マキミキ大いに怒る」
(擬音・吹き出し外文字)
「セリフ」
{人物モノローグ}
<ナレーション・モノローグ・解説・歌>
●1
■
かおり「やだぁ、そんな怖い顔で睨まないでよ」
かおり「パス出しただけじゃん」
かおり、不敵にニヤリ。
■
タイトル。
マキミキ「……」
険しい顔で睨む。
●2
■
かおり「A組でウチらの中学から来たの、玉木だけみたいね」
かおり「ウチら3人ともB組だよ」
かおり、九重(味のあるブス)、小島(ショート黒髪の小柄な子)
■
そのやりとりに遠くから目ざとく気がつく、インチョー。まれは自分の手に持っているボールを見ている。
■
マキミキ「……」
かおり達の前から、ぷいっと立ち去ろうとする。
かおり「無視すんなよ」
と怒ったように声をかける。
■
マキミキ「なんか用?」
と不機嫌に振り返って。
●3
■
かおり「同じクラスにはなれなかったけど」
かおり「せっかく高校もいっしょになったんだし、こっちから挨拶しにきたんじゃん」
大物ぶって余裕を見せようとするかおり。
■
かおり「体育の授業はA組とB組合同だから」
かおり「これからもしょっちゅう顔合わせるでしょ?」
視線を外してため息をつくマキミキ。
■
かおり「クラスで昼ごはん一緒に食べる友達とかできた?」
ニッと少し意地悪な笑顔。
■
マキミキ「……相変わらずだね」
マキミキ「かおり」
と、目を細めてかおりをチラっと見る。
●4
■
マキミキ「女子グループ作って」
マキミキ「楽しくオシャベリして」
マキミキ「その場の雰囲気作って」
マキミキ「みんなを従わせる」
マキミキ「それから気に入らない子がしゃべり始めたら」
マキミキ「みんなでつまらなそうにしてバカにして」
マキミキ「居心地悪いったらありゃしない」
飽き飽きだ、というような笑みでかおりたちを見る。
■
マキミキ「あんた高校生になってもまだやるんだ?」
思わぬ反撃にたじろぐかおり。
●5
■
マキミキ「あたしはもう不毛な空気読みゲームに疲れちゃったから降りたよ」
と、嘲笑するように突き放す。
■
マキミキ「あんたは勝手に女子の世界の女王様にでもなんでもなれば?」
九重、小島、マキミキに痛いところを突かれ気圧されて視線を落とす。
かおり、ぐっと詰まって顔を真っ赤にしてくやしそう。
■
かおり「…そ、そうやってえ」
遠くからやりとりを見ているインチョーの後頭。まれもやりとりに気がつく。
■
かおり「またそうやって他人を見下してさっ」
かおり「そんなんだからさっ」
かおり「そういう上から目線だから」
かおり「性格悪いってみんなに嫌われるんだよ!」
その他の関係ない女子たちが、かおりの大声に振り返る。
■
かおり「あんたがあたしにしたこと、忘れてないからね!」
マキミキを指さすかおり。
九重と小島、かおりの肩に触って「もうやめようよー」みたいな顔で止めようとする。
●6
■
かおり「ナニそのベリショっ」
かおり「猿みたいでキモイ!」
と言われてカッとなるマキミキ。
■
マキミキ「そっちの下品なユル巻きほどじゃねえよ!」
顔を近づけて罵り合う二人。
かおり「あれ怒った? ヤダ玉木って怒ると猿そっくりー」
■
かおり「なんでデコ、テカってんの?」
かおり「オリーブオイルでも塗ってんの?」
と興奮しながら意地悪に。
■
マキミキ「アハハハハー、面白いこと言うじゃん!」
マキミキ「あんたこそなんで唇テカってんの?」
二人の舌戦に女子たちが遠巻きに注目して唖然としている。
インチョー、メガネのレンズ不透過。
かおり「これはグロスですうー」
マキミキ「なにがグロスだ、馬油でも舐めてろ!」
■
マキミキ「バカが色気づいてんじゃねえよ!」
マキミキ「くせえ香水振りまいて」
興奮して憎悪をたぎらせて怒るマキミキ。
マキミキ「あたりかまわず男にタッチングして媚びやがって」
●7
■
マキミキ「あんたどこのキャバで働いてんの?」
オロオロしている小島が怯んでいる九重の顔を「ど、どうするー?」みたいに見る。
■
かおり「はっ? 意味わかんないし!」
かおり「つかウケる! まじウケるんですけどっ?」
かおり「ヤリマンのあんたがどの口で言ってんのっ?」
この上なく意地悪な嘲弄笑顔みたいな。
かおり「ヤリマン!」
■
連呼して罵る。
かおり「ヤリマン!」
マキミキ「!」
と、表情が凍りつく。
■
ヤリマンと聞いて、顔を見合わせているA組女子たち。
●8
■
マキミキ、ガッとかおりの胸倉と前髪を掴む。驚き怯んでマキミキを見るかおり。
マキミキ「いま確か」
マキミキ「あたしがあんたにしたこと、忘れてないって言ったよね?」
■
マキミキ「かおりちゃん?」
マキミキ「またおんなじ理由でそのかわいいお鼻に頭突きが欲しいの?(傍点)」
と目をむいて睨んで凄むマキミキの顔。
■
かおり「ひんっ」
胸倉と髪をつかまれながら両手で鼻を押さえて涙目。
●9
■
マキミキ「ねえ、かおりちゃん、一回学習したよねえ?」
と目を細めた冷たい表情で怒り、今にも殴りそう。いきなり弱ったかおりを見て、かえって嗜虐心が煽られる。
かおり「うっ、うっ」
と泣きそう。
■
かおり「うわーん」
とついに泣き出す。
インチョー{え、泣いたよ……}
と遠くから意外な成り行きを見てる。
■
マキミキ「泣きゃいいと思ってんのかよ、なめんなこの」
と顔を庇って泣いているかおりの胸倉をつかんで拳をふりあげる。
九重「や、やめなさいよー…」
小島「そうだよ、かおりちゃん泣いてるじゃないっ」
九重「かわいそうでしょー」
と引き剥がそうと取り付く。
■
かおり「うえーん」
マキミキ「フザケンナっ、ケンカ売ってきたのそっちだろっ」
マキミキ「泣いたらそれが無かったことになるのかっ?」
マキミキ「泣くのがそんなにエラいのかよっ?」
マキミキ「お前らもまとめて泣かしたろかっ!」
マキミキ「ああんっ?」
悪者扱いされはじめて引っ込みがつかなくなったのか、過剰に悪者っぽくふるまいはじめるマキミキ。
荒れ狂うマキミキを見てドン引きの女子たち。
インチョー{チンピラかこいつ……!?}
と呆れる。
●10
■
インチョー「もう許してあげたら」
と近づく。
■
マキミキ「あん?」
と振り返る。絡み合っているかおりたちも。
■
マキミキ、インチョーだと気がついてウッとなる。
インチョー「よけいなお世話かもだけど、この辺で、やめないとさ」
とチラっと後を振り返る。
■
「かわいそー」「なにー?」「どうしたの?」「泣いてるよホラ」などとこちらを見ている女子たち。
●11
■
マキミキ「……」
マキミキ「ちっ」
泣いているかおりを慰めるように集まってきた女子たちに背を向けて苦々しく立ち去るマキミキ。
■
見送るインチョー。
こそこそマキミキを見ながら話している女子A・B。
(ひそひそ)
女子A「え、まじ?」
女子B「しっ」
■
午後、廊下。
放送「新入生オリエンテーションの部活紹介は体育館で行ないます」
放送「すみやかに移動して……」
■
一人で体育館に行こうと廊下を歩いているマキミキ。
マキミキ{さっきのはまずかったな……}
マキミキ{なんで挑発にのっちゃったんだろう}
■
マキミキ{短気を直したい}
こころなしかしょんぼり。
●12
■
マキミキ{部活どうしよっかな}
ふと顔をあげる。廊下の向こうにチョコと関口を見つける。
■
チョコ「もうフォーク&ロック部しかありえねえし!」
と関口に話している。
関口「それ聞いた。何度も聞いた」
マミキミ{げっ……}
■
マミキミ{そういやチョコと関口はC組だったか……}
と苦笑しつつも少し嬉しそう。
■
チョコ「高校3年間はバンドに打ち込むぜー」
と一人盛り上がる。
マキミキ{あいつ、すっかりバンド馬鹿だな}
マキミキ{夢中になるとそればっかなのは昔っからだ}
■
マキミキ{……ハリキって空回りしていきなり浮きそうだからアドバイスしてやっか}
マキミキ{世話の焼ける奴……}
と、近づこうとする。
■
ハッと足を止める。
たまたま教室から、かおりと小島・九重が廊下に出てきたところ。
目が合う。
●13
■
睨むかおりたち。
かおり「……」
睨み返すマキミキ。
マキミキ「……」
■
かおり「あんたと仲良くしてくれる友達なんかできないかもね」
■
マキミキ「そーかもね!」
とぷいっと前を通り過ぎて去る。
きいってなるかおり。
■
マキミキの後頭。
マキミキ{……わかってんだ}
マキミキ{かおりのやりくち}
マキミキ{チョコたちと話してたらさっそく変な噂流される}
マキミキ{まあ、あたしはいいけど、チョコに迷惑かかるし}
●14
■
チョコ「おっ、ミキ!」
チョコ「おまえ部活どうすんの? フォーク&ロック部一緒に入んない?」
こっちに来るマキミキに気がついて。
■
マキミキ「……」
無視して通り過ぎる。
チョコ「……あれっ?」
■
チョコ「え、なんでシカト…?」
チョコ「あいつ、なんだよ、えっ?」
と途惑いつつ関口に。
関口「お前がウザいんじゃね?」
■
チョコ「なんでだよ!」
チョコ「お高くとまりやがって、バーカ! バーカ!」
関口「小学生かお前」
■
マキミキ{フォーク&ロック部だけは絶対入んねえ!}
マキミキ{あいつとバンドやるとか無理!}
と顔真っ赤にして怒って、大またでズンズン歩いてる。
(つづく)
チョコは中学校時代にマキミキとかおりの間になにがあったのか知らないので、「同じ中学出身で遊ぼうぜー」とかいって二人とも呼んじゃったりして周りがちょうハラハラしそう。マキミキの配慮なんか通じない! まだ関口のほうが少しはわかりそう。
実はかおりちゃん、高校入学をきっかけにマキミキと仲直りしようと思ってて、ホントに軽くパスしたつもりだったんだけど、思わず力が入りすぎちゃって、ムッとしたマキミキのリアクションに行きがかり上つっかかる感じに…。
本当はもうマキミキが批判したような女子界の立ち回りを反省してんだけど、マキミキに成長してないって決め付けられてあったまきちゃったかおりちゃん。つい罵り合って禁句を口にしてしまいました。
涙は嘘じゃない! マキミキも怖かったけど、誤解されてこんなことになったのが悔しかった。母親思いのいい子、かおりちゃんをよろしくお願いします。
※注:↑当時のメモそのままです
↓コンテ
https://www.pixiv.net/artworks/85186807
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます