第13話「プレイバック4月」
(擬音・吹き出し外文字)
「セリフ」
{人物モノローグ}
<ナレーション・モノローグ・解説・歌>
●2
■
マキミキ<インチョーの問いかけに>
マキミキ<あたしは少し前のことを──>
マキミキ<まれちゃんとインチョーに出会った4月のことを思い出した>
4月、川南高校。
■
クラス発表が張り出されている昇降口の壁。
生徒が群がっている。
■
その中にいて張り出しを見ているマキミキ。
●3
■
1-A。教室の札。
■
マキミキ{あいうえお順か……}
と席を探す。男女混合の流れ
■
自分の席に座って隣を見ると、まれが座って教科書を読んでいる。
■
{…髪長い}
と、まれの長い髪を見る。
{……けどボサボサだ}
■
まれが読んでいる手元の教科書。
{なんで歴史の教科書なんか見てんだ?}
■
まれ「ハ、ハ、…ハプっ、ハプスブルスケ」
とカミカミで。
●4
■
(てへへー)
まれ「…うまく言えない」
と苦笑いしてマキミキを見る。
まれ「高校の勉強むつかしいね?」
■
マキミキ「そ、そう?」
と、途惑いつつ曖昧に笑うマキミキ。
■
まれ「奈良本希」
とテレたように自分を指差す。
■
マキミキ「はいはい」
マキミキ「まれちゃんね」
と軽く受け流すように応えながら自分を指差す。
マキミキ「あのね」
マキミキ「あたし玉木未来」
■
まれ「…マキミキ」
ぽかんとして口に出す。
実は耳が悪いので上手に聞き取れない。
■
ちょっとむっとするマキミキ。
●5
■
マキミキ「た ・ ま き み き!」
と、抜かされた「た」を強調して繰り返す。
■
まれ「タ」
まれ「マキミキ?」
首をかしげてバカのように繰り返す。
■
呆れて諦めたように、
マキミキ「……あー、うん」
と頬杖をつく。
■
マキミキ{変な子}
と頬杖ついたまま苦笑いしてそっぽむく。
相手にしないでおこう、という感じ。
●6
■
ホームルーム。
騒がしい感じ。
先生「じゃあ誰か」
先生「推薦でもいいぞ」
デリカシーのない担任の先生。生徒にナメられてる。
(ワイワイ)
■
女子A「委員長は香坂さんがいいと思いまーす」
寝てる生徒もいたり、好き勝手死語している。「誰?」とか聞いてる奴もいる。
(ガヤガヤ)
(くすくす)
■
クールに前を見ているマキミキ。4つ前の席にインチョー。
マキミキ<高校入学二日目で>
■
冷ややかな表情で女子Aを見るインチョー。ふーん、みたいな感じ。超然としている。
対して女子Aはインチョーをおとなしいとナメていて、コントロールできると思い込んでいる。まだ自覚的な悪意もないのでニコニコしてる。
マキミキ<あたしはこのクラスの空気が嫌いになった>
■
(ワイワイ)
と騒ぐ教室。
女子A「委員長っぽいもんね」
女子B「委員長っぽーい!」
男子A「決めるのは委員長じゃなくて級長だろ」
(わはは)
●7
■
男子B「香坂サン頼むよー」
(ぎゃははは)
喧騒の中、まれ、ポカンとインチョーを見ている。
■
(ガタ)
と立ち上がるインチョー。
■
インチョー「辞退します」
超然とした表情。怖くて、美しい。
■
凍りついて、しんとなる教室。
動揺した表情の生徒たち。
●8
■
インチョー「まだこのクラスの誰がどんな人なのかわからない中で」
冷ややかに女子Aを見る。
動揺して目をそらす女子A。
■
インチョー「推薦はナンセンスだと思います」
椅子に座っている担任教師もたじろいでいる。
■
マキミキ<キッパリと断って>
マキミキ<誰も何も言えなくなった>
少し驚いているマキミキ。汗。
■
マキミキ<ちょっと凄味を感じた>
インチョー「くじ引きで決めるのがフェアじゃないでしょうか」
怖い微笑み。
●9
■
体育前の休み時間。更衣室。
女子A「つかあの人、カンジ悪くない?」
女子たちが話している。
一応声を潜めているつもり。
■
体育着に着替えているインチョー。
聞こえているけど聞こえないふり。
女子B「なんかマジメでつまんなそう」
■
ジャージを羽織りながら横目でチラッと見るマキミキ。
女子C「ちょっとさあ、職員室で聞いちゃったんだけど…」
女子C「香坂サンってウチらより一コ年上らしいよ」
女子A「まじ?」
■
女子C「先生と話してたんだけど、なんか高校入試で一浪してるみたいな…」
女子B「ホントなら上級生ってこと? ダブリ?」
女子A「え、なんで? なんで?」
■
女子B「ダブるとか、ありえなくね?」
マキミキ{……}
苦々しい表情。
●10
■
更衣室から出ていこうとするインチョー。
インチョーの横で着替えているまれ。
(くすくす…)
と固まって笑っている女子の集団。
■
ポケットからかわいいキャラ物(クマドン=くまモンみたいな?)の小銭入れが落ちる。
それに気がつくまれ。
■
拾って、インチョーに声をかけようとする。
まれ「あ、えーと……」
■
まれ「インチョー!」
と大声で呼びかける。
■
唖然としてちょっと間抜けな表情で振り返るインチョー。固まっている。
●11
■
インチョー「…はい」
と思わず返事。
(ブー)
(きゃはははっ)
(やだ~っ)
女子A「インチョーって」
と爆笑する女子集団。
■
まれ「お、お財布落ちたよ…」
インチョー「あ、ああ」
と受け取る。
■
出て行くインチョー。
女子B「奈良本さんナイス!」
(ププ)
(キャハハ)
(ゲラゲラ)
と手を叩いて喜ぶ女子集団。
■
まれ、曖昧な笑いを浮かべて女子集団を見る。
■
マキミキ「……」
苦々しく不機嫌な表情をつくるマキミキ。
●12
■
女子A「奈良本って天然だよねー」
と笑いすぎて出た涙を拭く。
■
女子C「なんかでもさあ…」
女子B「しっ」
(クスクス)
(きこえるよー)
まれ、とぼとぼと更衣室を出て行く。女子たちの声は全く聞こえてない。
■
体育、レクリエーションでサッカー。
グラウンドの体育倉庫。
ボールを体育倉庫のカゴから出しているインチョーと、まれ。
少し離れたところに同じくボールを持ったマキミキ。チラッと二人を見ている。
二人の危うい感じが気になっていて、少し心配そう。
■
まれ「インチョー」
と後から声をかける。
また不意をつかれてハッとするインチョー。
マキミキ{!?}
マキミキ{怖いものナシかこいつ?}
●13
■
無表情のインチョー。メガネのレンズのむこうが見えない。
まれに悪意があるのかないのか考えている?
■
まれ「インチョー」
と並んで歩く。
インチョー{……なんなんだこの子}
とまれに途惑う。
■
マキミキ{怒ってるかな、怒ってるよね}
とハタからハラハラしている。
インチョー「なに?」
まれ「あのクマドンのお財布、かわいいね」
マキミキのハラハラっぽさから二人の表情がよく見えない。
■
インチョー「……そう?」
インチョー「クマドン好き?」
穏やかに応じる。
■
まれ「うん、好き」
マキミキ{………}
と二人を追い抜いたマキミキ、肩越しに二人を見守っている。
■
サッカーボールが飛んでくる。
●14
■
「!?」
(バシっ)
と手で払うマキミキ。
■
(キッ)
と見る。
■
合同で体育の授業のB組、塚本かおりとその取り巻き(同じ中学)が立っている。
秋子「ハンドはダメよー」
秋子「玉木」
不敵に。
■
マキミキ「かおり……」
睨みつける。
(つづく)
●
女子A、B、Cは度々出てくるかと。一人くらいは6話に出てきた子を混ぜて。
●
塚本かおりはマキミキと中学時代女子社会の権力闘争でぶつかってたけど、マキミキがあっさり降りてしまったので不完全燃焼。
秋子はマキミキに見下されていると感じていて、それが気に入らない。
マキミキと友だちになりたかった?
本当はいい子です。本当は。母親思いないい子なんです。かおりっ。
注:最初「かおり」は「秋子」という名前でコンテの後で急遽「かおり」という名前に変わりました。
なぜなのかまるで思い出せない。
↓コンテ
https://www.pixiv.net/artworks/85186563
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