幻想的で 壮麗で 美しくて 残酷で されど儚く尊い物語

この物語の美しさ、儚さ、そして込められた思いが伝わるかどうかは、私の拙い語彙力では不足ではあります。が、それでも精一杯レビューさせていただきます。

これは鶴とそれに魅せられた彼の物語です。
作中で何度も繰り返し語られる『鶴』というお役目。とある一族に生まれついた彼女は『鶴』となることを定められ、時が至れば天へと昇る宿命を背負っています。

そんな彼女に付き従う彼は『鶴』である彼女の衛(まもり)役。
物語はそんな二人を中心に据えて紡がれていきます。短編とは思えない程、練り込まれた壮大な世界観からは、大陸の奥地、人が踏み入ることは叶わない《仙境》が思い浮かぶようです。読み終えた頃にはこの二人のお話がもっと読みたいと思うはず。

今回、レビューを書く準備で物語の重要要素である『鶴』について調べてみました。長寿の象徴でもあり誰もが知る美しい鳥は、古代中国に置いては仙人が乗る鳥と敬われてきたそうです。

鶴と仙人を結びつける「鶴駕(かくが)」という古い言葉があります。
周の霊王の太子晋が仙人となり、白い鶴に乗って去ったという「列仙伝」の故事から伝わった言葉だそうで、仙人の乗り物という意味を示します。

物語を読み込んだ方なら、鶴(カク)というルビが振られている理由もなんとなく察することが出来るのではないでしょうか。(考察が見当外れでしたらすいません……)

もっと語りたいところですが、これ以上は是非本編をお読みください!



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