Aschenputteは獨逸から極東を訪れた悪魔殺しに思いを馳せて

継母と連れ子の亜矢から虐げられている女学生の月乃。
女学校でも亜矢とその取り巻きから虐められている月乃は、亜矢による命令で校則を破りお醤油を自転車で買いに行く——。

その帰り道に黒い影に襲われてあわや命を落とすところだった月乃を助けたのは、「悪魔殺し(デモン・トーター)」を自称する浮世離れした美貌の異人、フリッツ・イェーガーと名乗る獨逸人の青年だった。

架空の明治時代を舞台に綴られる本作は、文明開花のにほいを文章の端々から感じることが出来ます。

緻密に練られた世界観と時代を演出する言葉選びは、まるで目の前に物語の世界が広がるような語り。古い寫眞に今も残る当時の景色を想起させ、読者を令和から明治へとたいむすりっぷしたかの様に錯覚させることでしょう。

謎多き異人フリッツの目的は女学校周辺に潜む、海の向こうから極東へと渡ってきた怪異を討伐すること。そしてどうやら怪異に好かれやすい体質の月乃も、そんな彼のことが気になるようで二人のこれからに目が離せません。

一風変わった明治西洋怪異ファンタジーであり、灰かぶり姫と異人のLiebesgeschichte。

どうぞ、お楽しみあれ。


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