第17話:子供心
最近孤児たちの行動が不穏です。
最初は心配のし過ぎかと思いましたが、どう考えてもおかしいのです。
気が付いて直ぐに、魔獣達が孤児を襲わないかと不安になってしまいましたが、魔獣達は我関せずを貫いているので、ほっとしました。
今度は逆に魔獣達がどういう基準で怒るのかが分からなくなってしまいました。
「聖女様、聖女様、こっちこっちこっち、こっちに座ってよ」
愛くるしい男の子が、一生懸命私を神殿長の横に座らそうとします。
孤児達は私を神殿長とひっつけようとしているのです。
最初は魔獣達が心配で、孤児達を傷つけないように避けていました。
でも今は、孤児達のすることが微笑ましくて、つい思い通りにしてしまいます。
まあ、私は孤児達の気持ちを優先しているだけで、神殿長の事を何とも思っていませんし、神殿長は超鈍感なので、安心して横に座れます。
「聖女様、このソーセージ美味しんだよ」
眼の前に茹でたての美味しそうな猪ソーセージが湯気を立てています。
私が食べ飽きないように、毎食猪・鹿・牛・山羊・羊・熊・羚羊・兎などと種類を変え、部位や調理の仕方を変えてくれています。
だから眼の前にあるソーセージだけでなく、もも肉とすじ肉を各種野菜とじっくり煮込んだシチューも運ばれてきます。
穀物が手に入り難いので、どうしても肉が主食になります。
「聖女様、聖女様、明日神殿長が遠くに行っちゃうの。
無事に帰って来れるようにお祈りしてくれますか?」
孤児の女の子が私に訴えかけてきます。
幼心に神殿長に恋心を抱いてるのでしょうか。
それとも、会った事もない父親の面影を、神殿長に求めているのでしょうか。
いえ、違いますね、これも孤児達が考えた幼い計略ですね。
他の子たちの期待に満ちた表情を見れば分かります。
私と神殿長が話すように、きっかけを作ろうと必死なのですね。
やれ、やれ、仕方ありませんね、神殿長に期待しても無理ですからね、孤児達の期待に応えるためには、私から話しかけるしかありません。
「神殿長、無事に任務が果たせるように、守護神様に祈らせていただきます。
天から我らを見守ってくださる守護神様。
孤児達を救い、難民を救い、今また国を救おうとしている神殿長を、どうかご加護願います、伏してお願い申し上げます」
「ありがとうございます、聖女様。
孤児達を護り、難民達を護り、国を護るために、身命を投げうつことをここに誓いますので、万が一の事がありましたら、孤児や難民達の事をお願いします」
「「「「「いや!」」」」」
「「「「「いなくなっちゃいや!」」」」」
失敗しました、愁嘆場になってしまいました!
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