第7話 カール
カールは呆れていた。
友達がなぜこれほどにカルラに会いたがるのかが分からない。
「おーい、彼女は極度の人見知りなのか?それともブスなのか?それを俺に知られたくないのか?あ?おーい、カール...」
と、いつまでも呟いている。
「マスター、もう一杯くれ」
この俺が綺麗な彼女を捕らえられねえ訳ないだろ。
俺を誰だと思っている。
彼女がブサイクって事は、俺も相当なブスじゃないと成り立たない。しかし、俺はそこそこイケメンだし、金持ちだし、めちゃくちゃモテる。
「お前だって、いつまでも独身でいいのか?」
「はあ、まあね、独身だと俺を独り占めできるし、もう少しだけ待つよ」
「なんだ、お前素直じゃねえな。本当はこれから寂しくなるのが嫌なんだろ」
なんとか話しを俺から外す。
「だけど怖くないのか?相手を選ぶのが。だって、選んだ瞬間に未来に蓋をするようなものじゃん。お前はカルラでいいのか?なあ?ああ、俺も気になってしょうがないよ。いつ会わせるんだ?」
え、いつのまにか戻ってる。
「まあまあ、いつか彼女もその気になれば会わせてやるよ。今は、その、選び中だから、別れたら会う意味ないだろ」
「そうか、わかったよ。で、ロボットの方はどうなんだ?」
「ああ、噂通りだったよ」
「やっぱり。いい交渉は出来たのか?」
「ああ、今以上にも裕福な暮らしをする予定だよ」
「そうか...」
友達はとても虚しそうな顔をしていた。
「カールはさあ、この戦争に反対してないのか?」
「さあ、俺が反対でも賛成した所で変わるような戦争じゃないだろ」
「いや、君はロボットを送り込まない事も出来たが」
「が、俺はお金も好きだ。俺がやってなかったら、軍は新しいドローンでも使っていたよ。結果は同じだ」
「たしかにそうだが、悪いとは思わないのか?俺は思う」
「戦争なんて、第二次世界大戦からみんな自由の為にやってるようなもんさ。あの時俺達は負けた(・・・)けど、お前は昔のアメリカを潰しているようで今の戦争が嫌なんだろ」
「...そうだが、それで悪いか?」
「多少自己中な所以外は別にいいよ」
「お前の方が自己中だと思うが?」
「それは否定しないよ、だけど仕方ないだろう、俺がこんなんだから」
「ははは、変わんねえな。やっぱさ、カルラが行きたくなくてもあの動物園に行こうよ」
「ったく、しつこいなあ、わかったよ」
「へい、ちゃんと来いよ」
「マスター、もう一杯」
カルラか。しばらく逢ってないなあ...また逢いたいよ。カルラ。
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