第2話
俺は自分が天才である事を認識するのにさほど時間はかからなかった。
学校で成績優秀な生徒など多々いる。だがその中で目立つ為にはまたさらに特別な要素が必要だ。
友達にとってその特別とはスポーツだった。建設会社の友達。
短距離で彼に敵う者は数少なく、その為貴重は人材として大学に注目され、声をかけられた。その真横に俺がいる。
おい、どうしてあいつで俺じゃないんだよ。俺だって基準を優に超えているはずだ、なのにニキビのように突き出てねえからお前らの鈍感な指に触れられずにいる。
俺に一体何をしろと?
友達と違って足が特に速い訳でもないからそれは無理だ。この頭を使ってパテント取って、しかも人の役に立つパテントを、売りに出して名を上げたら声をかけてくれるのか?せっかくだからノーベル賞も取ってやろうか?
それも無理だろ。今の研ぎ澄まされた世の中でそうそう必要とされるものは生まれてこない。たとえ新しい何かが紙の上で産声を上げても、それを欲しがる他人はいないんだよ。
だったら近年みんなが勧めている癖に自分からしないボランティアってやつはどうだ?それに俺の時間の全てを注ぎ込んだら、向けられる温かい視線の中にお前達のもあるのか?
これはただ単に嫌だ。高校生としての時間をお金も貰えず無駄にしたくない。
俺はまだ高校生だぞ。ただの高校生だ。凄い事出来る訳ないだろ。
友達の隣にいるのは友達じゃないが、知ってる奴。
そいつはノーベル賞を取ったおじさんの手伝いをしてたらしい。その間色々学んで、研究に貢献をする一言を発したらしい。しかもこれから自分のパテントを取るらしい。
友達の隣のそいつのまた隣にも、俺を知らないが俺は知っている奴がいる。
小さなネット会社を創立して、依頼も結構来ているそうだ。何の会社だか知らないが。
そして、友達の隣のそいつの隣のあいつの隣には、一年中絶え間なくボランティア活動をしてきて、市から賞を貰った奴だってさ。
みんなスタンフォードに行くらしい。
もちろん俺も入るが。
天才だから。
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