第15話

下でロボットをまた一列に並べた。

青く光る点灯があるものの、この空間はまだまだ暗い。洞窟の中をろうそくで照らすようなもんだ。

だが、そうして見たくないものを見えずに、肝心なものしか見えない空間にした。

腫れものには蓋を。

一番端っこのロボットに命令した。

「外へ出せ」

大きく膨れ上がっている鎧の隠し戸が開いた。

中から疲れ切った兵士が転び出て、咳をしながら地面をひっかいた。

青く光る首筋を目掛けて一直線。

注射器を刺した。


クッソ―、何が起きてるのかが分からない。

さっき男の声がしていたが、あまりよく聞き取れなかったし、今度はまた違う感じの音がどっからかした。足音とはまた別の、機械の騒音でもない。なんだか、固いドアがこじ開けられたような、そんな音がした。

そして、その音がこっちに近づいてきている気がする。


「こいつで最後か」

最後のロボットと顔を合わせながら自分に言った。

無表情なその顔には出てこないが、こいつも内心を世界に披露したいのだろうか。まあ、明かしたくても、その思いさえ口にできないなら仕方ないんだが。

「開けろ」

中から二十三人目が転びだし、そして、よろよろの足で立ち上がった。

「うおー、まだそんな気力があるとはな」


今にでも落ちそうだ。だが、右に続くかつての同志の様子を見ると、話す時間を作らないと俺もああなってしまう。

「ただ、はあ、俺に、説明をしてくれないか?」

「説明を聞いてどうする」

「はは、俺は無力だぜ、それくらいできるだろ、お前なら」

「...まあ、たしかにそうだが、無意味だと承知だな?」

「ああ」

「君には、俺のロボットになってもらうよ」

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