カリブの潮風と灼たかな光が、其処に在る

カリブ海に面した国を舞台に、娼館の女王たるマカレーナを中心とした人間模様を細やかに描いた物語。
南米を舞台にした作品はあまり見かけたことがないのですが、丁寧な文章とキャラクター造形との織り混ぜ方によってすぐに物語の中に引き込まれました。
異国情緒漂う情景描写に遠く離れた南国を思い、登場人物の生き生きとした、繊細でありながら強かな生きざまから生命力を感じる。長編映画のような見ごたえと読みごたえを兼ね備えています。
麻薬カルテル同士の抗争、そして大人のスリリングかつ刹那的、少年少女のじれったい恋模様に胸の高鳴りが止まりません。文字を追えば追う程に、海を隔てた異国の地に足を踏み入れたくなる作品です。

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