概要
捨て子ながらも神殿長に拾われ、平和な日常を送っていた。
いくつか秘密を抱えながらも、そんな日々がずっと続いていくはずだった。
「何か用かの?」
だが一つの出会い。そして——異変から、その日常は大きく変わった。
「お主に力と命を与えよう。だが、それは人の理を捨てるということじゃ」
少年は村から旅立つことを余儀なくされる。
一人の少年と一人の鬼、流転する世界の中で二人は歩んでいく。
その邂逅は偶然か、必然か。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!手をつなごう、孤独な悪夢は終わりにしよう。人ならざる少年少女の旅物語。
優しい少年と孤独な鬼姫、二人の出逢いから始まる旅を描いた冒険ファンタジー。
神官や騎士、牧歌的な村や町といった馴染み深いファンタジーの中に、ほんのり和のテイストを取り入れた、魅力の深い世界観。丁寧な心理描写とともに描かれてゆく、等身大のキャラクター。そして波瀾万丈なストーリーと、読み始めたら一気に引き込まれる作品です。
神官を志す主人公のセスは、特別に強くも弱くもない普通の少年でした。恩恵と呼ばれる特殊な能力を持っているものの、効果は使い所の難しい『半減』というもの。しかし彼は、吸血蝙蝠の子供を世話しに『異教の祠』へ通い詰めるほど、優しい人物です。
そんな彼が鬼の少女と出会ったこと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!優しき少年は手にした大きな力で大切なものを守る
真面目で不器用な生き方しか出来ないけれど心優しい主人公セス。
やや特殊な”恩恵”持ちであるセスが森で美しい少女と出会ったことから、彼の運命は大きく変わり始めるのでした。
少年漫画の王道とも言うべき展開が丁寧な筆致で描かれています。
大きな力を手にした少年が大切なものを守ろうと必死に戦う。
しかし、守りきった彼に向けられる目は感謝ではなく、疑惑と畏怖、恐怖。
それでも守れたことを喜び、人を恨まない主人公セスの姿に多くの人が感動することでしょう。
人ならざる力を手にしたうさぎのおにーちゃんと美しき鬼の姫。
主従二人が進む先に待つものは果たして?
うさぎのおのーちゃんが何か、気になった方は是…続きを読む - ★★★ Excellent!!!優しい少年と鬼の少女の王道ファンタジー。
こういった見せ方があるんだ!と、とても参考になる一人称小説です。
登場人物の性格や考え方がすごくわかりやすくて、読んでいると自然に作品と一体になっている感覚がします。
セスくん視点は居心地がよく、フィルミナさん視点で魅力が倍増し。
誰の視点で場面が描かれるかが楽しい作品です。
個人的には「半減」の設定がとても面白く、最初に読んだときは、バランスを取るのが難しくないかな?と思ったのですが、その他の設定も同様に世界観にきちんと馴染んでいます。
なので、これからどんなエピソードが増えていくんだろうと読みながらワクワクしてきます。
長く応援し続けていきたい面白さと作者の腕がある、そんな作品だと感…続きを読む - ★★★ Excellent!!!薄明かりに潜む鬼は優しい人の顔をしている
作品に足を運んでいただいたご縁で、この物語に出会いました。
更新分まで読み終えましたので、レビューさせていただきます。
人ならざる力を手に入れる王道ファンタジーの始まりから、人間同士のすれ違い。そしてキャラクター達の内面にある思い、感情というものが簡潔に、しかし厚みを持って表現されており、とても読みやすいものと感じました。
そして他の方も絶賛されております、戦闘描写。能力の使い方やキャラクターの動き、そしてその中で感情を込めるという書き方は、ただの戦闘シーンで終わらない面白さ。本当にお見事だと思います。
ファンタジー好きなら、この物語を読まないなんてもったいない。
他の皆様も是非読んでみ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!鬼が見る薄明の空は黄昏れなのか?黎明なのか?
大きな力を手に入れれば人を救うことが出来るかもしれません。
でも弱い人たちから見れば自分達の驚異となる力もそれから守り退ける力も同じ大きな力というだけで恐ろしく感じるのかもしれません。
鬼の力という大きな力を吸血鬼のフィルミナから与えられたセスは人を救うために使った力で人々から蔑まれ心の底から傷つきますが、それでも持ち続けた優しさで他の人々を救い又救われていくそんな姿に心打たれます。
ただ強いだけでなくセスが元から持つ自身に掛かる事を半減させる力の使い方が「その発想はなかった!」と言ってしまう位素晴らしいです。
鬼の圧倒的な力を半減させる力が上手にアシストしていく様は『柔と剛の共演』と…続きを読む