暮らしの余白にある物事。意外な事柄の小さな驚き。折に触れての浮かぶ感慨。日々のなかで見落としがちな、あれこれへ向けられた視線が楽しい。時事性に縛られない話題は、いまこの瞬間の正しさを語らない。誰にでも気づける語りかけは、優しい。6段落600字という抑制された形式も心地良い。語られた話題は冗長にならず、考えの輪郭を端的に示す。それは断定した答えではなく、気づきを示して、読む者に考える瞬間を作ってくれる。暮らしのなか。一息ついた瞬間。少しだけあたりを見まわしたくなる。そんな穏やかなエッセイ集である。
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