おどろくチカラ
西久史
第1話 きまり
規則・戒律・タブー……言い方はいろいろあるが、「~ねばならない」という文末で括られる言葉を「きまり」という。最古のきまりは、おそらく「同族を殺してはならない」だろう。
集団で助け合わなければ生き抜けなかった人類は、集団の維持のために「きまり」を作った。古来、集団の維持は、個人を守ることに通じていた。つまり、個人を守るのが「きまり」だったのである。
個人を守る「きまり」は、いつしか人を「縛る」ようになる。集団が大きくなるにつれ、「持てる者」が「持たざる者」を守るという口実で支配するための「きまり」に変わってしまったのだ。
支配のための「きまり」が極端になればなるほど、「革命」という形で歴史がリセットされる。支配のための「きまり」は、次第に穏やかになっていった。「中庸」の思想の誕生である。
極端を嫌う中庸は、見方を変えれば中途半端で曖昧な考え方でもある。曖昧ゆえに、解釈次第でどうにでもなる「きまり」になる。そんな「きまり」は、守る側の「節度」がないと機能しない。
「~ねばならない」の逆は「~したい」つまり「個人の欲」なのかもしれない。集団の維持という原則をふまえ、個人を「縛る」ことのない「きまり」のためには、「個人の欲」を制御する「節度」が必要ではないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます