概要
階段を下りるだけで力尽きる神官、ぼんやりの限度を知らぬ魔法使い、生まれて初めて楽器を触る吟遊詩人、賢者は強力な魔術師……ではなく、森の塔に引きこもりの学者──えっ、もしかしてこれ、俺が一人で全員守るのか?
暗く淀んだ世界を敵に追われながら笑って旅する、異色の英雄譚。
※小説家になろうにも掲載しています
※完結済みですが、時々番外編が追加されます
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!王道に見えて独創的。物語の世界に浸る楽しさを思い出させてくれた。
かなりの長編なので時間をかけて読みましたが、読了して感じたのは「何でこれが書店に並んでないの?」でした。
指輪物語のような名作ファンタジーが並んでいる棚に差さっていても遜色ない、緻密に世界が練り上げられた最高のハイファンタジーです。
敵味方共にバリエーション豊富なユニークな登場人物と、魔法の不思議と、新たな世界が眼前に広がっていく心躍る冒険譚でもあります。
物語の基幹は、勇者をはじめとする、賢者・魔法使い・神官・吟遊詩人というRPGのようなパーティが組まれ、世界のために魔王の打倒を目指すというもの。親しみやすいこの設定で、テンプレートを想像して軽い気持ちで読み始めたらもう大変。個性…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「シダルがいるから大丈夫」そう思わせてくれる、彼こそ勇者。
その強さゆえに、秘境の村で誰にも受け入れられずひとり生きてきた純朴で心優しい青年、「狼」。その彼が、神託により勇者シダルとして旅立つところから物語は始まります。
ところが、魔王を倒し世界を「淀み」と呼ばれる穢れから救うはずの勇者の仲間は、およそ戦闘向きではない者ばかり。しかし最初は頼りないと思われた彼らも、旅の中でシダルを助け、肩を並べる存在となっていきます。シダル自身の成長だけでなく、仲間の成長と変化もこの物語の魅力の1つです。そして物語がシリアスな局面に入っても、友愛(と、へんてこ加減)を忘れない登場人物たちのお陰で、希望を見失うことなく読むことができます。
仲間たちの素晴らしい友…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神託によって選ばれた勇者とちょっと変わった仲間たちの旅の行方は——?
辺境に暮らす圧倒的な力を持つ青年が、神のお告げによって勇者に選ばれ、魔王を倒す旅に出る。
ファンタジーの王道ストーリーのはずなのに、この物語の勇者とその「剣の仲間」たちは一味も二味も違います。
癒しの力は圧倒的だけれど、敵である竜にまで情けをかけて勇者の剣を止めて隙をつくらせてしまう「神官」。知識と魔術は素晴らしいものの、魔王そのもののような容貌と雰囲気の「賢者」。目を奪われるほど美しく圧倒的な魔力を持つのに、戦闘中にシチューを煮始めてしまうような行動が読めない「魔法使い」。唯一、常識人に見える美しい「吟遊詩人」は、血が苦手でやっぱり戦いには向かない。
そう、勇者以外の仲間は、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!仲間の大切さを知る物語
狩人だった主人公が勇者に選ばれ、とても個性的な仲間と魔王討伐の旅に出る物語です。
黒い靄が見える主人公。そのせいで村では周りに気味悪がられていた。そんな彼が狩りの途中大怪我をしていたところ、魔法使いに助けられる。そして魔法使いに連れていかれ、神官、吟遊詩人、賢者と出会う。その出会いは彼にとってかけがえのないものであり、例え彼らがとても個性的であったとしても勇者であることを決意するに足るものであった。
狩人だった勇者が非戦闘員の仲間たちと繰り広げる異世界ファンタジーコメディ。こういうのを仲間っていうのだろうなぁと、人間関係に荒んだ心にしみる作品となっています。